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※読後感の良さはあまり無いと思われます。ご注意下さい とある人里に、年若い夫婦がいた。 夫は優しくて力持ちを体現したかのような働き者で、妻もそんな夫を支える理想的な伴侶だった。 そんな二人の間に子供ができた。それはそれは元気な女の子だった。 ある日の事。 夫は村の男衆と共に、最近現れたと噂される巨大ゆっくり対策のための会合に 妻は近所のお婆さんの家に自家製のお漬物をお裾分けしに行っていた。 赤ん坊はすやすやと昼寝をしていたので、少しの間だしお婆さんの家はすぐ近所だからと妻は赤ん坊を家で寝かせておくことにた。 お裾分けをし、少し話し込んでしまったと妻が早足に家に戻った時だった。 家の中から子供の泣き声が聞こえたので、妻は急いで家にあがっていった。 留守にしている間に起きていて、近くに母親が居ないので泣いていたのか、と。ごめんね、すぐ戻るつもりだったんだよ、今すぐお母さんが行きますからね、と。 妻はそこで信じられないものを見た。 それは妻と同じぐらいの背丈を持つ、巨大なゆっくりれいむ。膨れた下顎が嫌悪感をもたらす薄汚れた饅頭だった。 そして、妻の子供の泣き声が、巨大れいむの口の中から聞こえてくる様だった。 「ゆゆっ? おねぇさん、かってにれいむのゆっくりぷれいすにはいってこないでね!」 妻に気付いた巨大れいむが頬を膨らませて威嚇しながら抗議の声をあげた。 そしてその声に重なって聞こえるは赤ん坊の泣き声。少しくぐもってはいるが、それは間違いなく巨大れいむの口の中から響いていた。 「……返して」 「ゆっ?」 「返して!! 私のっ、私とあの人の赤ちゃん! 返して!! その子を返せっ、化け物!!!」 妻は我を忘れて巨大れいむに飛び掛った。 妻の中にあるのは愛しの我が子を化け物から取り返すということだけ。一刻も早く救い出さなければという思い。 しかし、飛び掛る妻に巨大れいむは体当たりを返した。 双方が正面からぶつかりあった時、重い方が勝つのが道理。背丈は同じでも、横幅が人間よりも太く、中に餡子の詰まった巨大れいむの方が当然強い。 妻は巨大れいむの体当たりを真正面から受けて畳の上にひっくり返った。 「ゆっ! なにいってるのおばさん! このこはれいむがたすけてあげたんだよ! とつぜんあらわれてなんなの? かってにれいむのおうちにはいってきてわけわかんないこといわないでね!」 巨大れいむは倒れた妻にそう吐き捨てると、ドシンと妻の上にのしかかった。 妻はあまりの重さに呻き苦しんだ。骨まで響くかのような落下の衝撃に、呼吸もままならなかった。 「すてられたかわいそうなこのこはれいむがそだててあげるんだよ! れいむならこのこをとってもゆっくりさせてあげられるよ! れいむはこそだてのたつじんなんだよ! らんぼうなおばさんはそこでゆっくりしていってね!」 巨大れいむは妻の上で再び跳ねた。その巨体が再び妻の体を押しつぶす。ミシミシと骨が軋む音がした。 巨大れいむはそれで満足したのか、ボスボスと跳ねながらその場を去っていった。 入ってきた時に壊したのか、無惨な状態になっている障子を更に壊し、縁側から外へ出て行った。 妻はそれを追うことが出来なかった。巨大れいむののしかかりにより、意識を保つこともやっとだったのだ。 立ち上がることもできず、意識を失っていく妻の耳には、我が子の泣き声だけがこびりついていた。 「かえ……して……」 涙を流し呟く妻は、そのまま気を失った。 夫が全てを知ったのは、日が暮れてからだった。 家に帰った夫が見たのは、荒らされた室内と倒れた妻だった。赤ん坊はいなかった。 夫は慌てて妻を抱き起こし、医者へと連れて行った。ケガとしては肋骨が折れていたそうだ。 妻を医者の家で寝かせてもらい、夫はすぐさま我が家へと戻った。赤ん坊を探しに行ったのだ。 しかし、家の中のどこを探しても我が子は見つからなかった。 たまに子供を預かってもらっていた近所のお婆さんの家や親友の家にも行ってみたが、子供の行方は知らないという。 やがて夜が更けた頃、一人の男が夫に妻が目を覚ましたことを告げに来た。 急いで夫は妻のもとへ向かった。 妻は泣いていた。ただ涙を流していた。 夫はどうしたことかと、なにがあったのかと問うた。妻は嗚咽をこらえながら、途切れ途切れに語った。 長い時間をかけて夫は全てを聞いた。 巨大れいむの事。連れ去られた我が子の事。妻が襲われた事。 全てを聞いた男は、すぐさま医者の家を飛び出した。 「おい、お前どこへ行く気だ!」 「決まっている! 巨大ゆっくりを殺して子供を取り返しに行くんだ!」 親友の制止の声も振り払い、夫は鍬と棍棒を持ってゆっくりが多く生息するという森へと向かおうとした。 「待て待て! 相手は人間ほどの大きさもある巨大ゆっくりだぞ! 夜も更けているし、一人じゃ危ない!」 「じゃぁどうしろって言うんだ! 子供は諦めろと言うのかっ!!」 「そうは言っていない! …………待ってろ、今皆に呼びかけてくる」 夫の親友はそう言い残すと里の中心へと走って行った。恐らく里中に今回のことを知らせに、そして巨大ゆっくりの駆除と赤ん坊の奪還を呼びかけに行ったのだろう。 妻の話では巨大れいむは赤ん坊を育てると行っていた。ならばすぐには死んでいないだろう。 だが野生のゆっくりが生息する劣悪な環境に小さな赤ん坊が長く耐えられるとは思えない。 夫は待ってろという親友の言葉を無視して、一人森の中へと駆けていった。 「やべでぇぇぇ!! でいぶのあがじゃんをつぶざないでぇぇぇぇ!!!」 「まりざのあがじゃんがぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 夫の目の前には子供を潰されて泣き喚いているゆっくりれいむとまりさの番がいる。 そして夫の足元には潰れた子ゆっくりの跡と思われる潰れた餡子があった。 そして夫の手には一匹の子れいむがいた。 「やめちぇぇぇぇ!! はなちちぇぇぇぇぇぇ!!」 じたじたと夫の手の中で身を捩るが、当然逃れられない。夫は子れいむを持つ手をわずかに強くした。 「さぁ、これが最後の子供だ。もう一度聞くぞ。巨大れいむはどこにいる?」 「ぢらないよ゛ぉぉぉ!!! ぞんなゆっぐりでいぶぢらないよ゛ぉぉぉぉ!!」 「ぞんなごどいいがらばりざのあがぢゃんがえぢでねぇぇぇぇ!!!」 「本当に、知らないのか?」 「ぢらないっでばぁぁぁぁぁ!!!」 「やべでっでいっでるでじょぉぉぉぉぉ!!!!」 ブチュリ 子れいむは夫の手の中で潰れ、餡子が飛び散った。 「ゆぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」 「まりざのっ、ばりざのあがぢゃんがぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」 これ以上有益な情報は得られないと判断し、夫は持っていた棍棒で親れいむと親まりさを叩き潰した。 子ゆっくりを一匹ずつ潰す尋問にも関わらず、一切巨大れいむのことについて言わなかったことから、本当に知らないのだろう。 だが、だからと言って生かす理由は無い。もうこの夫の中ではゆっくりはすべからく駆除すべき対象として映っている。 ここでこのゆっくりを逃し、後々巨大ゆっくりにまで成長したら、また同じ悲劇が起こるかもしれないとそう思ったのだ。 自分の子がさらわれたのに他人の子を殺すのはいいのか、と思うかもしれない。 しかし今夫にはまともな思考は残っていない。頭の中にあるのはただ我が子の事だけだ。 いや、たとえ冷静になって思考を取り戻したとしても、変わらないだろう。 相手は人間ではない饅頭だ。それに、もう夫は自分の子供を救うためならば犠牲は厭わないつもりだった。 自分勝手だと、自己中心的だと言いたければ言えばいい。そんなことは百も承知。 夫はもう、ただ、愛すべき我が子を救うためならば、それが障害となるならば人間だって殺しかねない。 「ちくしょう、あの馬鹿! 待ってろって言ったのに!」 夫の親友は松明を持って森の中を駆けていた。その後を同じように数人の青年が続いていく。 親友の呼びかけに、殆どの里の男衆は集まってくれた。人間の子供を攫った害悪な饅頭を駆除し、赤子を救うために集ったのだ。 夜の森は危険だ。里の者達は数人ごとに班を組み各々分かれて巨大れいむと、それに夫を探していた。 一人では夜の森は危険だし、もし巨大れいむに会ったとしても怪我をし、最悪死ぬ恐れもあるのだ。 「お、おい、これって……」 「あぁ、あいつがやってるんだろう」 親友の後に続いていた男が言った言葉に親友は断じる。 男が言及したのは、森の至るところで見られるゆっくりの死骸だった。 木にこびりついた潰れた饅頭。体の半分以上を失い瀕死で呻いている饅頭。 巣だったろう木の洞の中で潰されていた饅頭の一家。地面に散乱している饅頭の死体。 恐らくここだけではないだろう。 その饅頭の死体を辿ってかけていると、前方からうめき声が聞こえた。 「う~」と聞こえたその声に親友は聞き覚えがあった。それは捕食種であるゆっくりれみりゃのものだった。 「おい、今の!」 「あぁ、あっちだ!」 一向は声のする方角へ向けて駆けて行った。 そしてその先で、れみりゃの首を掴んで木におしつけ、片手の棍棒を上に振りかぶっている夫の姿を見つけた。 れみりゃの四肢は潰れ、原型を留めておらず、顔は涙と鼻水でぐしゃぐしゃ。対する夫の顔はまさしく修羅の如し。 「最後にもう一度だけ聞く。巨大れいむは何処だ?」 「うわ゛ぁぁぁ!! じらないんだどぅ~!! れみりゃじらないんだ────」 言葉は途中で潰された。夫が持っていた棍棒でれみりゃの頭を潰したのだ。 ボタボタと返り肉が夫の顔にへばりつく。よく見れば夫は全身に餡子を浴びていた。 夫は持っていた手を離した。両手足頭を潰されたれみりゃの死体は、ボトリと地面に落ちた。夫も持っていた棍棒を取り落とした。 一向はその光景にしばらく言葉を失っていたが、親友がいち早く正気に戻ると夫に詰め寄った。 「おい、お前! 一人で行くなって──」 「───だよ」 「え?」 「いないんだよ……、見つからないだよ……、あいつが……」 「…………」 「あいつが通った跡も見つからない! 森のゆっくりは何も知らない! あの子の助けの声も聞こえない! あの子はきっと泣いている! 助けを呼んでいる! 助けてって、お父さん助けてって! なのに、なのに俺は!!」 「落ち着け、落ち着けって!!」 静かにつぶやいてから唐突に暴れだした夫をなんとか親友は押さえつけて押し留めようとした。 しかしあまりにも強い夫の力に振り払われ、がむしゃらに振るっていた拳に顔を殴られた。構わず再び押さえつけようとする。 他の男達もそれでようやく我に帰ったのか夫を押さえつけようとする。 「くそ! ド饅頭め!! 薄汚れたクズ饅頭め!! 返せ!! あの子を返せ!! 殺してやる!! 貴様だけはっ、いや、貴様らだけはっ!!!!」 「だから落ち着け!! 頭を冷やせ! 見つかるものも見つからない! これだけ暗いと探せない! 明日、明日陽が昇ったら里の皆で探すから! まずは落ち着け!!」 「これが落ち着いていられるか!!!」 夫は押さえつける男たちを力任せに振り払い、落ちていた落ちていた棍棒を持って夜の森へ駆けていった。 その後も親友達は男を捜したが、見つからず、あまりにも夜が更けていたので仕方なく一度里に戻った。 そして翌朝。里の男衆が捜索隊を結成し、いざ探しに行かんとしたその時だった。 森の中から、全身餡子まみれで、餡子にまみれた棍棒をひきずりながら夫が帰ってきた。 「いない、いない……」と呟きながら、目は前を見ていなかった。 親友は慌てて夫に駆け寄ったが、夫はその場で倒れた。極度の疲労で体力の限界だったのだ。 その後夫は医者のもとに預け、一向は森へ巨大れいむと赤ん坊を探しに行った。 夫の側には妻がついていた。 しかし、その後一日中探し回ったが、巨大れいむは見つからなかった。 それから一ヶ月、ほぼ毎日捜索隊が結成され、捜索範囲を広げながらも捜索は続いた。 さすがに里の男衆全員とまではいかず、日替わり交代での捜索隊だったが。 そしてその間夫は、一日も休むことなく森や山に入り巨大れいむを探し、毎日餡子まみれになって帰ってきた。 だんだんとその頬はこけていき、体も心も病んでいるように親友には見えた。 「おい、お前大丈夫か?」 「あぁ、大丈夫だ。今にも苦しんでるあの子のことを思えば、これぐらい……」 そう応える夫の目は焦点があっておらず、虚ろだった。 「殺してやるさ。全部。そうさ、全部のゆっくりを根絶やしにしていけば、いずれ会える。 いつか、絶対に見つけ出して殺してやるさ。あぁ、そうさ、全部だ」 そう言う夫の視線は、完全に親友には向いてなかった。誰に言ったのか、己に言ったのか、ゆっくりに向けて言ったのか。 夫は、完全にゆっくりに心囚われていた。 二人揃って里への帰り道を歩いていると、目前にゆっくりまりさが現れた。 それは夫の腰のあたりまでの大きさを誇るやや巨大なゆっくりだった。 「ゆゆっ!? 人間っ!?」 こちらに気付いたゆっくりまりさは逃げようとした。恐らく、近隣のゆっくり達が殺されまわっていることを知っているのだろう。 住処を移動させる途中だったのかもしれない。 親友は巨大れいむのことについて訊こうとした。だが、親友が反応するより早く夫が先に動いていた。 一瞬で逃げるまりさに追いついた夫は、棍棒を振るい、まりさを横合いから殴りつけた。 「ゆぎゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!」 痛みに転げまわるまりさ。夫はそのまりさの動きを、棍棒で底部を貫くことで止めた。 「巨大れいむは何処だ? 言え」 「ゆ゛っ゛!? なんの゛ごどぉぉぉぉ!?」 「とぼけるな。人間程の大きさの巨大なゆっくりれいむだ」 「まりざ、じらないよ!! ぞんなれいむ゛みだごどもぎいだごどもない゛よぉぉぉ!?」 「本当か? 言わないとお前のためにならないぞ」 「だがらじらないっで────」 潰された。夫は棍棒を引き抜くと無慈悲にまりさの頭を叩き潰した。一撃でまりさは絶命した。 「…………お、おい」 「畜生……」 「…………」 「なんでだよ……。なんで、見つからないんだよ、畜生……」 立ち尽くしたままボロボロと涙を流す夫に、親友はかける言葉が見つからなかった。 その次の日、夫は姿を消した。二度と戻ってこなかった。 きっと、巨大れいむと、我が子を探しに行ったのだろう。 そして六年後、その子供は帰ってきた。親友はまるで奇跡だと思った。 遠い里で一人の青年が見つけたというその子供は、全ての行動においてゆっくりを真似た、まさしくゆっくりに育てられた状態だった。 それでも、生きて戻って来たことに里の者達は皆喜んだ。ただ、その中にその子の父親の姿はなかった。 親友はきっと、夫の執念が奇跡を起こしたのだと、そう思った。 ───────── あとがきのようなもの 思考停止。餡子脳と言われるかと思いますが、私は今回キングれいむをこのようなゆっくりとして書きました。 そしてこの物語はフィクションです これまでに書いたもの ゆっくり合戦 ゆッカー ゆっくり求聞史紀 ゆっくり腹話術(前) ゆっくり腹話術(後) ゆっくりの飼い方 私の場合 虐待お兄さんVSゆっくりんピース 普通に虐待 普通に虐待2~以下無限ループ~ 二つの計画 ある復讐の結末(前) ある復讐の結末(中) ある復讐の結末(後-1) ある復讐の結末(後-2) ある復讐の結末(後-3) ゆっくりに育てられた子 byキノコ馬 このSSに感想を付ける
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シリーズの0話的な位置づけでお願いします あいも変わらず核弾頭です。多分過去最高レベルの 気分が悪くなったらユーターンを推奨します 独自設定あり 幻想郷の話です 「ゆ!!ドス!!どうしてゆっくりをみんなゆっくりさせる聖戦を思いついたの?」 幹部れいむはドスに質問をした。今まで気になっていたのだろう。 「ゆ?れいむ?どうしても聞きたいの?」 「どうしてもだよ!!聞いたらみんなをもっとゆっくりさせるインスプレーションが働くかも しれないよ!!」 「ゆ~~しょうがないね!!ゆっくり聞かせてあげるね!!」 ドスは自分の昔の話を語り始めた 昔のゆっくり これはドスがまだただのまりさで、子ゆっくりの時から始まる。 まりさのいた群れは森の山奥にあり、そこは天敵ともいえる動物が一切なく 個体数が増えすぎても雨などの事故等でうまく数が調整された土地であった。 みな特に食糧に特に困るという事が今までなく、みな思うがままにゆっくりしていた。 それもあってか不慮の事故という事故以外で死ぬゆっくりがいないため 何十、何百世代に渡って思う存分ゆっくりしたゆっくりしかいなくなり いつしかゆっくりこそが世界の頂点に位置する生き物だと考え始めていた。 ただ単に天敵という天敵がいないため思いあがったのだろう、餡子の記憶からも 天敵の存在は消え切っていた。 「ねえお母さん?なんでゆっくりは世界でもっとも素晴らしい存在なの?」 当時子ゆっくりだったまりさは母であるまりさに聞いたことがあった。 その返答に母まりさはにこやかに答えた 「あそこにいるれいむをゆっくり見てね!!」 まりさはゆっくりしているまりさをみた。 そのまりさは木の切り株の上に乗り、森の木々から漏れる日の光を浴びて気持ちよさそうに寝ていた 「まりさの姿をみてごらん!!なにかかんじるでしょ!!」 まりさはそのゆっくりをよく観察した。 日光を浴びてつやつや光る髪、光を浴びてその白い肌をさらに白く感じさせる肌、 そしてそのまりさの顔の素晴らしいゆっくり比。 まりさはこのまりさのゆっくりした姿をみて確信した。 どんな絵さんよりもとってもきれいで、神々しくて、なにより、なんて言えばいいんだろう。 「そう、それがゆっくりしているということなんだよ!!」 お母さんまりさは続けた 「とってもゆっくりしているでしょう!!あのまりさがとてもゆっくりするために あの木さんは切り株さんになったし、あのまりさがゆっくりお昼寝できるように 森の木さんがわざわざちょうどいいおひさまを用意してくれたんだよ!!」 まりさは母の言葉に感動していた 「ここにはどれだけ食べても草さんやキノコさんがゆっくりに食べられるために たくさん、勝手にはえてきてくれるのよ!!だからおちびちゃんも勝手にはえてくる ごはんさんをできる限りたくさんたべてあげて、ごはんさんの幸せ~にしてあげたり ゆっくりお昼寝してその場所を提供してくれた生き物が幸せ~になるようにしてあげてね!!」 まりさは母の話に元気よくうなづいた。 「ゆっくりわかったよお母さん!!ゆっくりはやっぱり世界で一番素晴らしい生き物なんだね!!」 母ゆっくりもそうよとうなずいた。 ある日 まりさと母ゆっくりがゆっくりお話しながら歩いていると、ボロボロになったれいむが倒れていた。 「ゆ!!お母さん!!」 「わっかているよ!!れいむ、大丈夫?」 まりさ親子はボロボロで倒れているれいむに駆け寄り、れいむを起こそうとする。 必死にやったのが幸いしたのか、れいむはかすかに反応し、意識を取り戻した。 「ゆ・・・・ゆっぐり・・・じでいっでね」 れいむはボロボロの体にも関わらず挨拶をした 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!!」 親子はつい反応してしまった。 「れいむ?一体どうしたの!!いま治療するよ!!」 そういうとまりさは近くに生えていた薬草をかみ砕き、液状にした後れいむの体に擦り付けた 「ゆぴぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 傷口に染みるのか、れいむは悲鳴を上げた。 れいむの傷は自然についたものとは思えないような傷だった。 あんよは真っ黒になっており、あの真っ赤なリボンは真白になっていた。 体はこれでもかという程傷口があり、中には何かで切られた跡があった。 薬草で応急処置を行った母まりさは大きな葉っぱを持ってきてその上にれいむを乗せて 群れの広場へ運び始めた。その間、まりさはれいむを励ましていた。 ―ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「今考えてみれば、あれがすべてのはじまりだったよ」 ドスまりさは楽しかった日々を懐かしく思う様な眼で語った。 「ゆ?ということはそれから始まったんだね!!ゆっくりのためのジハードが!!」 「そうだね、すべてのきっかけはそれからだったよ!!それからね・・・・」 ―ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 群れに着くと群れのみんなはあまりにもゆっくりできなくなってしまったれいむを 哀れんだ。 今村で唯一ある診療所で本格的な治療が行われていたが、あれだけの傷にあんよのあり様、 どうかんがえてもれいむが再びゆっくりできる日々はもうこないだろう。 診療所の入口でれいむを連れてきたまりさ親子は内心怒っていた。 一体だれがこんなひどいことするの!!ゆっくりをゆっくりできなくさせたら みんなゆっくりにも幸せにもなれないよ!!なんでそんなことするの!! これは群れのゆっくりみんながそう思った しばらくすると、診療所のパチュリーが入口から出てきた 「むきゅ!!れいむの治療がおわったわ!!傷は応急処置が良かったこともあってか餡子さんの 流失を止められたわ!!ただあんよの怪我はどうにもならなかったわ・・・。 あんなけが始めてよ!!たぶん自然につくものじゃないわ!!」 群れのゆっくりはやはりという顔だった。 「とりあえず、しばらくは絶対安静よ!! なんでこんな事が起こったかはぱちぇが聞いておくわ!!」 そういうとぱちゅりーは中へと戻って行った。 群れのみなはひと安心し、それぞれお家へ戻って行った まりさ一家もひと安心し、お家へともどっていき最後の平穏な一日を過ごした。 翌日、ボロボロになったれいむから話を聞いたパチュリーから語られた内容はゆっくり達には騒然たる ものだった。 そのれいむはとある広場を散歩している最中、みたこともないゆっくりプレイスをみつけ わざわざれいむのために開けられた入口からお家に入り、ゆっくりしていた所に 人間と呼ばれる生き物が侵入し、れいむのゆっくりプレイスに侵入し、ゆっくりプレイスを 奪うだけでなくれいむをここまでボロボロにしたのだ!! 群れのゆっくりは激怒した れいむをゆっくりさせるためにできたお家を横取りした生き物!! ゆっくりをゆっくりさせることをしない生き物、人間!! 群れのゆっくりは人間という生き物をゆっくりの力をもって駆除することを決定した。 ゆっくりの力・・それはゆっくりをゆっくりさせるために作用する力を人間に ぶつけるという力だった。 まあ早い話、ゆっくりをゆっくりさせてくれる風さんや日光さんがゆっくりをゆっくりさせる ために働いてくれるから、その力で人間が苦しんで反省するその様を見に行こうというものだ。 群れのゆっくりはその日の正午に群れを出発した。 その一群の中に、あのまりさ親子の姿もあった。 お母さんの教えてくれたことに深く感動し、それに反する生き物の存在を子まりさは その正義感から許せなかったのだ。 心配だからとついてきた母の他には、子まりさの妹にあたるまりさもついてきた。 妹まりさは尊敬する姉のまりさの雄姿がどうしてもみたいと駄々をこね、無理やりついてきたのだ。 参加したゆっくりのほとんどはゆっくりをゆっくりさせてくれるものが人間という生き物を 懲らしめてくれるからそれを遠目でみようというまるで遠足に行くような考えで いたため、参加したゆっくりの中には赤ゆっくりや子ゆっくりの姿もちらほら見えていた。 ゆっくり移動すること三日・・・・ 一群は人間の里に着いた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「今考えてみれば、世界はこのときからゆっくりに対して反乱をおこしていたんだよ・・」 ドスは懐かしくも、悔しいような顔でれいむに話していた。 「ゆ?ということはゆっくりできないことがおこったの?」 「そうだよ・・・・人間の里に着いたまりさ達は・・・・」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 人間の里についたまりさ達群ゆっくりは目の前の光景に驚いた。 風や太陽さんが人間をさんざん懲らしめているはずなのに、全く苦しんでいないのだ!! おかしい、そんなはずはない!!ゆっくりをゆっくりさせるために働く風さんや 太陽さんが全然人間さんを懲らしめていない!! なにやっているのぉぉぉぉ!!早くこらしめてよぉぉぉぉぉ!!! もういいよ!!働く気がない風さんや太陽さんのかわりにゆっくりが すこしだけゆっくりしないで働いてあげるよ!!終わったらゆっくりさせなかった分だけ 働いてね!! 長はそう考え、群れゆっくり達に指示をだした 「ゆぅぅぅ!!みんな!!風さんや太陽さんが全然ゆっくりをゆっくりさせるために働いていないよ!! 働かない怠け者の代わりにゆっくりが少しだけゆっくりしないで人間を懲らしめるよ!! ゆっくり準備をしてね!!」 群れゆっくりは一瞬怒った顔をしたが、すぐにいつもの顔に戻り、石を加えて近くにいた人間に 近づいて行った。 村の入口につくやいなや、長は近くにいた人間を呼びつけた。 その男は偶然なのか、れいむをボロボロにした張本人であった。 「そこの人間さん!!ゆっくりこっちを向いてね!!」 長の叫び声に男は気づいた 「ん?・・・・・ゆっくりの大群かよ・・・・。あのれいむ、仲間にこの場所を教えたな、ったく」 長は男の会話に気がつかなかったらしく、そのまま剣幕な顔で続けた。 「なんでれいむをゆっくりさせなかったのぉぉ!!ゆっくりをゆっくりさせるのが仕事でしょぉぉ!!」 「はあ?なんで俺がゆっくりをゆっくりさせなきゃいけないんだ?」 「ゆっくりをゆっくりさせるのはこの世界の仕事なんだよ!!まりさ達は寛大だから いま謝ってれいむやまりさ達をゆっくりさせたら水にながしてあげるよ!! そうだね、手始めにあの美味しそうなご飯をもってきてね!!人数分だよ!!」 そういって、男が育てていた野菜をよこせと要求してきた だが、男はわざわざゆっくりに合わせる必要などないため、答えはもちろん 「やるわけないだろうが!!」 「どぼじでぇぇぇぇ!!!」 「あれは俺が育てた野菜だ。それを自分のものだとぬかして食べようとするゆっくりを ボロボロにしたり、家を乗っ取ろうとするゆっくりをボロボロにして何が悪い。」 長は顔を真っ赤にした 「なにいっでるのぉぉ!!ゆっくりをゆっくりさせるのが義務でしょぉぉぉ!!! ゆっくりのために働くのがしごとでしょぉぉぉ!!風さんや太陽さんだってゆっくりのために 働いているんだよぉぉぉ!!それなのになんで人間だけさぼるのぉぉぉ!!」 「そんなもん聞いたことがない。思い上がりなら自分の群れの中だけでやってろ!!」 「ゆぎぃぃぃぃ!!ゆっくりせいさいずるよぉぉぉぉ!!みんな!!いくよ!!」 この言葉を合図に、ゆっくりの投石攻撃が始まった。 ゆっくりをゆっくりさせる仕事を放棄した虫さんに制裁するために日頃から練習していた投石攻撃 これで怠け者を制裁するよ!! ゆっくり達はそう考えていた。 だが、男は石をぶつけられ、切れた。 「ざけんじゃねえぞ饅頭どもがぁぁぁぁ!!!」 男は手にしていた鍬の刃を長まりさめがけて振りかぶった。 まりさは鍬の刃をもろにくらい、その場で死んだ 「人が優しくして付き合ってやったら石投げてきやがって!!もういい!!皆殺しにしたらぁ!!」 一方的な虐殺が始まった。 あるゆっくりはふざけるなと叫びながら体当たりをするも鍬に潰され、あるゆっくりは 子を守ろうとしてわが身を盾にし、鍬で親子もろとも死んだ。 あのまりさはなんでこんな事になったのか分からず、目の前の光景にただ呆然としていた。 なんでゆっくりを殺すの?やっちゃいけないことなんだよ?なんで?なんでぇぇぇ!! 「なんでごんなごどずるのぉぉぉぉぉぉ!!!!」 その刹那!!まりさめがけて鍬が襲う。だが、まりさは何かの体辺りを受けた。 母まりさが体当たりをしてまりさの身代りになったのだ。 母まりさは核を寸分違わずりょうだんされていたためか、何一言も残さず、その場で息絶えた。 「お、お、おおお、おおお、おおおがあざぁぁぁぁぁぁぁ!!」 まりさは叫んだ。怒りのあまりに体当たりをしようとしたが、誰かがまりさを掴んだ。 見知らぬ群れのゆっくりれいむだった 「おちびちゃん!!おかあさんはかわいそうだけどこんなところで死んじゃダメ!!」 そういうとまりさを咥えたまま森の方へ駆けて行った。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「お母さん・・・かわいそうだね・・・」 幹部れいむはドスに同情した。 ドスは気にしないそぶりを見せ、話を続けた 「ある意味、本当に大変だったのはこの後だったよ・・・。」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「ゆがぁぁぁぁぁ、妹をばなぜぇぇぇぇぇ!!!」 「おねえぢゃぁぁぁぁん!!だずげでぇぇぇぇぇぇ!!!」 人間の追撃を命からがら逃れたものの、助かったゆっくり達は特に策もないため、お家に一旦引き返す 事にした。 だが、来る道中にはいなかった動物達が負傷したゆっくりから放たれる甘い匂いにひかれてきたのだ。 今まりさの目の前では、妹のまりさが犬に咬みつけれていた。 「おねえじゃぁぁぁぁぁん!!ばりざ、ばだじにだぐないぃぃぃぃぃ!!」 「大丈夫だよ!!おねえじゃんがだずげるよ!!」 まりさは必死に体当たりを仕掛けるも、犬には何のダメージがなく、ただ辺りにまりさの 悲鳴が響きわたるのみであった。 他の生き残ったゆっくり達は突然の襲撃者に驚き、まりさを置いてどこかへと逃げて行った。 そして時が流れ、犬は体当たりをしかけるまりさに飽きたのか、まりさを無視して妹まりさを 咥えたまま走り去っていった 「おねえじゃぁぁぁぁぁぁぁ・・・・・・」 これが妹の最後の言葉となった。 取り残されたまりさは込み上げる感情を必死に抑えた。 まだ何かが襲ってくるかも知れなかったからだ。 だが、目から涙が止まることなく流れていった。 どうにか心を落ち着かせたまりさは4日かけてきた道をたどり、群れに戻ったが そこは地獄となっていた。 先に帰ってきたゆっくりの傷口から流れる餡子やクリームの匂いにひきつけられてやってきた 動物達が群をおそったのだ。 いままでこの群れに動物が襲ってこなかったのにはこの群れ自体が非常に幸運だったのもあるが、 なによりまともに餡子やクリームを流失するようなケガを負ったゆっくりが いままであまりいなかったからだ。 だが今回の場合、まりさを置いていったゆっくり達が先に帰り着いたはいいが、道中さまざまな 動物達がゆっくりを襲い、ほとんどのゆっくりが負傷したのだ。 その負傷したゆっくりから漂う大量の甘い匂いが今までよりつかなかった動物達を 招き入れる形になったのだ。 まりさは必死になって生きているゆっくりを探し始めた。 家に残ったお父さんれいむと妹達、長の奥さんのパチュリー、みょん、友達のちぇん みんな死んでいた。 一匹残らず、群れのゆっくりは死んでいた。 「ゆ・・・ゆ・・・ゆ・・・・・ゆがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」 まりさは叫んでいた。 ゆっくりをゆっくりするために肝心な所で怠けた風や太陽さん!! ゆっくりをゆっくりさせるどころかゆっくりを殺す人間!! 傷ついたゆっくりを襲う極悪非道な動物さん!! 復讐してやる、復讐してやる!! ゆっくりをゆっくりさせる仕事を放棄した怠け者を、ゆっくりをゆっくりさせない鬼畜どもを 地獄に叩き落としてやる!! こうして、一匹のAVENGER(復讐者)が誕生した。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「それからが苦労の連続だったよ・・・・。何度も群れを作って、何度も捕まって、 何度も人間にゆっくりできない目にあったり・・・」 「ゆぅぅぅ、大変だったんだね・・・・・」 ドスは暗くなり気味な顔でれいむにうなづいた。 「でもね、そんなドスについに転機が来たんだよ!!」 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー それは、まりさがドスになり、これで何度目なのかわからない敗北を迎え、 絶望し、うちひしがれていたときだった。 「なんで、なんでこんなに頑張っているのに人間さんを制裁できないのぉぉぉ」 「それは世界がおかしいからよ」 ドスは誰かの声に驚き、声の主の方を振り向いた。 そこにはいままでみたこともないゆっくりがいた。 とても小さく見えたが小さいわけではないようだ。捕食種の一種だとも思ったが見たこともない。 どのゆっくりにもあてはまらないゆっくり・・・それが今目の前にいた。 「世界がおかしい?・・・・どうゆうこと?ゆっくり説明してね!!」 「いいわよ」 ドスはこの異形のゆっくりの目を見た瞬間、恐怖を感じた。 このゆっくりから何か禍々しいものを感じるよ。恨み?悲しみ?それに近いものを感じるよ でもなにより、このゆっくりは・・・この世界すべてを憎んでいる!! 「世界は本来ゆっくりをゆっくりするために存在していた。そうでしょう?」 「そうだよ!!」 ドスはうなづいた 「その世界がゆっくりを虐めだしたのよ。ゆっくりがゆっくりを平気で殺せるようにしむけ 他の動物や現象がゆっくりを虐めるように仕向けたりして、世界がゆっくりに対して反乱を 起こし始めたのよ。」 「ゆぅぅぅぅ!!!そんなの嘘だよ!!お母さんは言ってたもん!!世界はゆっくりを ゆっくりさせるためにあるって!!そんなデタラメ・・」 「じゃあ私は何?」 異形のゆっくりはドスに割り込んだ 「私はこの姿で生まれてきた。お父さんはお母さんを捨てて、お母さんはそんな私を育てるために いっぱい無理して美味しいご飯を集めたのが禍いして死んだわ。 それから私は仲間のはずのゆっくりにゆっくりできないという理由で虐められてきたわ。 何も悪いこともしていないのによ。それから今に至るまで、私は通りすがりのゆっくりから ゆっくりできないという理由から虐められてきたわ。ゆっくりできないという理由でよ。 そのゆっくり達がなんでそんな事をするのか、それは簡単よ。世界がゆっくりさせてくれないからよ 世界がゆっくりをゆっくりさせて、満ち足りているはずなら私を受け入れてくれるはずよ。 なのに私を拒絶する。だから私は世界を憎む。ゆっくりをゆっくりさせない世界を私は憎む。 これでもデタラメなの?」 ドスはこのゆっくりの言い分が正しいように感じてきた。 確かにゆっくりを追い求めて自滅していくゆっくりが最近増えてきたよ。 それも全て世界のせい?ならやることはただ一つしかないよ 世界を・・・・制裁するよ!! 「そう、分かったのね。本当の敵が。」 「ゆ!!分かったよ!!本当の敵が!!」 ドスと異形のゆっくりは互いの顔を見た。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「これがこの「ビッツ」を作った経緯だよ」 「ゆ~~、すごいゆっくりなんだねそのゆっくり!!でもどのゆっくりか分からないの?」 「今考えてみてもわからないよ!!でもね、人間と少し似ていたような気がするんだけど・・ そんなわけないよね!!」 ドスはこの異形のゆっくりとの出会いからこの「ビッツ」を作りだした。 あの異形のゆっくりとはそれ以来一度も会ったことはなかったが、 ドスは今もどこかで世界を憎んでいるのではないかと考えていた 「ところでれいむ、インスピレーションは沸いた?」 「ゆ!!もちろんだよ!!インスピレーションもやる気も一杯だよ!! じゃあドス!!昔話ありがとうね!!」 あの異形ゆっくりとの出会いがなかったら 「じゃあがんばってね、れいむ!!」 あの晩に会わなかったら 「ゆし!!ドスもがんばるぞ!!」 ゆっくりの悲鳴がこんなにも聞こえることはなかっただろう・・・・・ あとがき う~~~~ん、正直どうしよ!!なんかフルボッコされそう・・・・・。 作品がクロスされたことに舞い上がって調子こいたら・・・こんなすさまじい出来に・・・。 まあいいか!! 作中にでた異形のゆっくりですが、チル裏でちらっとだけ出た内容を元に作りました。 次回から本編を進めていきます。 ゆっくりAVENGER このSSに感想をつける
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哲学派れいむ 「ゆっくりおもうゆえにゆっくりあり!!!」 実力派れいむ 「ゆーきゃんえすけー!!ふ、いえあ、はいぱーっぼっ!!!」 知能派れいむ 「はんにんはあなたです!!!まりさがひとばんでやってくれました!!!」 野性派れいむ 「れいむのほんのうがさけぶのさ!!!おまえをゆっくりさせろとぉ!!!」 都会派れいむ 「フッフッフ!!とちのばいばいならおまかせ!!!」 別の人のレスから 哲学派れいむ 「豆は死んだ。我々の中に詰め込まれたのだ」 実力派れいむ 「貴様の中身には糖度が足りん!!!」 野生派れいむはバルバトスww -- ちょ (2010-01-23 18 22 38) 哲学派れいむ「あぁん!?最近だらしねえな」 -- 名無しさん (2011-04-28 14 02 04) 名前 コメント
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ゆっくり落ちぶれていってね 「じじいいいいいいい!!!はやぐ、でいぶだぢに、ごはんをもっでぎでねぇえええええ!!!!」 「「はやきゅもっちぇこいいいい!!!!」」 6畳ほどの狭いボロアパートの部屋中央あたりで、元気なくごはんを要求する親れいむ1匹と赤れいむ2匹。 親れいむのおりぼんには優秀なゆっくりの証明である、金バッジがついていた。 金バッジをつけたゆっくりは人間社会のルールを理解し、人間と共存が可能と判断された優秀なゆっくりのみに与えられる証明であり、一般のゆっくりの憧れの的でもある。 金バッジを与えられたゆっくりは、人間の手によって最高のゆっくりプレイスと、あまあまや食事を保障される・・・ハズだったが、この親子ゆっくりたちは何故かボロアパートの一室で飢えに苦しんでいる。 何故金バッジを与えられた優秀なゆっくりがこのような状況になっているのか・・・その原因は1年前に遡る。 ~1年前~ この親子の飼い主は、昨年末彗星の如く芸能界に現れ、新曲でヒットを飛ばした大人気ロックバンド「YUGYAKU」に所属するボーカルだった。 年間のCD売り上げも歴史的な記録を達成し、波に乗りまくっていた。 都内で高級マンションに住み、近くの高級住宅街の一角にプライベートスタジオまで建てて、日々の音楽製作に勤しんでいた。 興味本位でゆっくりを飼いたくなった飼い主はゆっくりショップへ行き、そこで金バッジの血統書付であるれいむ親子を購入したのだ(500,000円もしたらしい) 成金がブランド物の腕時計や服を身につけて虚栄心を満たすように、金バッジ付のゆっくりを購入できる人は金持ちに限られる為、若くして音楽で成功し大金持ちになった飼い主の虚栄心を満たすには格好のペットだったのだ。 飼い主はれいむ親子に最高級のゆっくりフードと、ブランドチョコや、高級菓子屋の限定菓子などを毎日与え、れいむ親子を最高にゆっくりさせていた。 「おい、れいむ。今日のあまあまは駅前の高級チョコ専門店のチョコレートケーキだぞ。」 「ゆ~♪おちびちゃんたち、おにいさんがれいむたちにけーきをかってきてくれたから、いっしょにむーしゃむーしゃしあわせー♪しようね♪」 「「ゆっきゅりりきゃいしちゃよ!むーしゃむーしゃしゃーわしぇ~♪」」 「ゆっくりさいこう~だよ~♪おにいさんまいにちありがとう~♪」 「「ありがちょ~♪」」 またある時は、飼い主が音楽製作をするときに、れいむ親子も真似て、おうたの練習をしてゆっくりしたりした。 「ゆ♪ゆ♪おちびちゃんたち、きょうはとってもはれてきもちいいから、おうたをうたってゆっくりしようね♪」 「「ゆわーい♪ゆっきゅりおうちゃをうちゃうよ♪」」 「「「ゆ~ゆ~ゆゆゆ~ゆっゆっ~♪」」」 最高の食事とお菓子、そして最高にゆっくりできるおうたを毎日歌える日々を、れいむ親子は満喫していた。 しかし、そんな生活は突如終わりを告げる事件が起こった。 ある日、飼い主のバンド「YUGYAKU」が所属するレコード会社の超大物プロデューサーが、次回新曲の打ち合わせをする為、飼い主が建てたプライベートスタジオにやって来たのだが、ここでマズイことが起きた。 超大物プロデューサーがプライベートスタジオに到着したとき、「YUGYAKU」のメンバーはまだダレもスタジオにいなかったのだ。 打ち合わせの予定はAM10 00開始だったのだが、超大物プロデューサーは予定の10分前に到着するように余裕をもってやってきたのだった。 しかし、待てど暮らせど、10:00を過ぎても「YUGYAKU」のメンバーが一人も現れず、何かあったのかと思い、彼は「YUGYAKU」のメンバーに連絡をとった。 「もしもし、私だが、時間を過ぎたのにまだダレもスタジオにいないがどういうことだ?何かあったのか?」 「あ~、スンマセン、ちょと寝坊しちゃいまして、今そこに向かってます。」 「う~む、寝坊とな、時間はキッチリ守ってもらわねば困るぞ!私は次の予定も分刻みではいってるんだ!キミ達の都合で遅れるわけにはいかないんだぞ!」 「はい、スンマセン、今いくんで、スンマセン」 結局メンバーが全員揃い、打ち合わせが行われたのは予定より1時間遅れになり、次の予定まで時間がなかった超大物プロデューサーは怒りをメンバーにぶつけていた。 「キミたち、少し売れたからって天狗になってるんじゃないかね!?確かにキミらは今勢いあるバンドかもしれんが、だからといってこの私を待たせるなんて10年はやいぞ!」 その後メンバーを怒鳴り続ける重い空気の中に、飼い主が連れてきたれいむ親子が入ってきた。 「ゆ!じじい!うるさいよ!れいむたちがとなりのおへやでおうたのれんしゅうをしてるのに、じじいがおおごえでどなるから、れんしゅうできないでしょ!」 「な、なんだ!こいつらは!」 「す、すいません、俺のペットたちです。お、おい!れいむ!お前ら向こういってろ!」 「「おにいしゃんをいじめる、くしょじじいはどっかきえちぇね!」」 「な!!!!!なんだと!!!!!!!!!!!」 ただでさえ、格下のバンド連中に予定を狂わされてイライラしていたところに、れいむ親子のKY抗議で、場の空気の緊張はMAXになり、遂にブチぎれし、メンバーに言い放った。 「貴様ら!どこまで私を侮辱するか!遅刻して予定を狂わせ、よりによってゆっくりに罵倒までさせるとは!」 「す、すんませn」 「もういい!貴様らのプロデュースはもうやめた!私は降りる!貴様らの音楽活動は今日を持って終了だ!」 「うるさいっていっでるでしょおおおおおお!!!!!くそじじいいいいいいい!!!!!!!」 「れいむ!やめろおおおおおおおおおお!!!!」 「不愉快だ!!!!!!!!!!帰る!!!!!!!!もう会う事はないだろう!!!!!!」 超大物プロデューサーを怒らせた「YUGYAKU」のメンバーたちは遂に彼から見放され、超大物プロデューサーを怒らせた噂は芸能界中に広まり、完全に干されてしまった。 メガヒットを飛ばした「YUGYAKU」といえど、芸能界ではまだまだ新人レベルだったのだ・・・ 1年後、芸能界から追放されたメンバーは全員故郷へ戻り、バンドを解散し、一般人としての生活へ戻っていった。 しかし、高卒で職歴も無くいきなりバンドで芸能界デビューしただけで、音楽以外の取り柄も学も知識も無いメンバーたちは全員、現在の世界大不況の煽りもあって就職できなかった。 そして、れいむ親子の飼い主は当然、無職に陥った現在、マンションもスタジオも手放し、自給650円の飲食バイトでギリギリのワーキングプアになってしまい、高級ゆっくりフードもお菓子も買う余裕などなくなり、れいむ親子たちの食事はクズ野菜、ひどいときは残飯か魚の骨になってしまった。 しかし、以前は人間すら羨む様な最高の生活を満喫していたれいむ親子にとって、こんなまずい食事は我慢できないし、お菓子が食べられない生活など言語道断であった。 「ゆ!!!!!!!おにいざあああん!!!れいむたちにこんなゴミをたべさせるなんてなにかんがえてるの!!ばかなの!?しぬのおおおおおおおおおおお!?」 「れいむ、もうオレはお金が無いんだ、お前らの食事を確保するのも苦しいんだよ。」 「ばきゃなこちょいわにゃいでね!しゃっしゃとれいみゅたちに、おいしいごはんと、あまあまをもっちぇきちぇね!」 「なぁチビ、もうオレ自身だけで精一杯なんだよ、わかってくれよ。」 「もっちぇこいっでいっでるでちょおおおおおお!!!!!れいみゅたちに、いじわりゅすりゅじじぃはゆっきゅちちねぇ!!!!」 「おちびちゃんたちのいうとおりだよ!むのうなじじいはかいぬしなんだから、れいむたちのごはんやあまあまをゆうせんしてもってくるぎむがあるでしょおお!!!」 「しょんにゃこちょもわきゃらにゃいなんて、さいていにゃにんげんだにぇ!」 「たおれりゅまではたらいちぇ、れいみゅたちをゆっくちしゃしぇろおおおおおおお!」 容赦ない罵倒と食事を要求するれいむ親子に対し、俯きながらブツブツと独り言をはじめる飼い主。 罵倒が開始から10分、何百回もの「無能!じじい!しね!」を言われ続けた飼い主の中で何かが「プツン」と音を立てて切れた。 「テメェらあああああああああああああ!!!!!!オレが気にいらねぇなら、捨ててやらぁあああああああああああああ!どこへなりと失せやがれええええええええええええ!」 「ゆぎゃああああああああああああああああ!!!!!!」 「おきゃーーーーーーーーしゃーーーーん!」 「おきゃーさんににゃにしゅるのおおおおおおおおおおお!!!」 親れいむを思いっきり殴り飛ばし、赤れいむ2匹を地面に叩きつけ、何度も暴行し、金バッジを取り上げ、遂に家かられいむ親子を放り出した。 「ゆべぇ!!!!」 「ゆぴぃ!」 「いちゃいよおおおお!」 「ゆ!じじい!はやくげんかんあけてれいむたちをなかにいれてね!おそとはさむくてゆっくりできないよ!」 季節は冬、身を切るような寒空の下に放り出されたれいむ親子は必死に家に入ろうと叫ぶ。 しかし玄関は遂に開くことがなく、れいむたちは完全に捨てられた。 それからのれいむ親子は悲惨だった。 家に居たときは、マズイ食事だったとは言え、食べられる野菜クズや魚の骨、そして暖かい部屋があったのだが、今は食べるモノも、暖かい部屋も無い寒風吹きすさぶ真冬の外なのだ。 ボロボロになりながらも、ゴミを漁る毎日で、人間に追われたりもした。 またあるときは、スーパーの買い物客のレジ袋を狙って人間に飛び掛ったこともあった。 「おい、バイト君、最近ウチのスーパーの買い物客のレジ袋を狙って、ゆっくりが襲ってくるらしいから、入り口で見張ってろ。」 「あ、はい、わかりました。」 7歳も年下の今年新卒でやってきた正社員チーフに命令され、入り口へ向かう元「YUGYAKU」のボーカル、元れいむ親子の飼い主が店の入り口で見たのは、まさに今買い物を終えた主婦に襲いかかり、レジ袋を口に加えてひっぱっているれいむの姿だった。 しかし、人間から見ればゆっくりなど皆同じに見える。 自分が昔飼っていたれいむとは気づかず、元飼い主はれいむ親子をまとめて叩き潰して殺した。 れいむは殺される直前、視界の端に飼い主の顔を見たような気がしたが、次の瞬間激痛と主に意識は闇の中へと消えた。 あとがき 初SS 最近は、れいむを幸せから不幸のどん底に落とすのがたのしいw このSSに感想をつける
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*ゆっくり劇場 『ー幻想郷。そこは、すべてを受け入れる場所。そこにやってきた『実況者』達が独自の想像力で産みだす世界のことを【劇場】と呼ぶー』 ゆっくり劇場には様々な種類が存在する。『種類』というのは即ち『実況者の数』に同じ。その実況者が自分の世界を動画にすることで生み出される動画が『ゆっくり劇場』である。 輝ク蕾は、そのゆっくり劇場の最前線(輝ク蕾内でのみ)と呼ばれる作品「東方非泪章」はmagu9331様ことマグさんが自分の世界観を動画にしたものである。 次第にそれが評判を呼び、様々な実況者が独自の関係を持って作られた『ゆっくり劇場』が増えている… †三界劇場者† 『magu9331』『藤魄寺夢子』『touhoudaisuki8488』のことを示す。 主な理由は『magu9331』の世界観を生かしたまま、続編を制作しているためである。 つまり『magu9331』の劇場で作られた設定を引き継ぎ『マグの幻想郷』で物語が展開されている。 例:霧雨魔理沙は水無月マグのことが好き/水無月真黒は霧雨魔理沙のことが好き この一例をそのまま引き継いで行われているとも言っていい。 †三界劇場者と呼ばれる者のお送りする動画† 『東方非泪章』製作者 magu9331とある日の夜。眠れなかった射命丸文は、水無月マグと買い物へ言ってからお酒を飲んでいた。すると、突然目の前から姿を消してしまった。彼は…死んでいたのだ。 その夜を超えた朝、目を覚ました博麗霊夢と霧雨魔理沙を始め、これは何かの異変ではないのかと捜索を始める。マグの知り合いのゆるぱむはマグの手紙を読み上げる…三人の反応は… そして人間の里には謎の結界が貼られ、空は変に歪んでいる。閉ざされたその空の果てで待ち受けていたのは…『もう一人の水無月マグ』だった。 ※この劇場は『視聴者様参加型劇場』といい、抽選で選び抜かれた視聴者や実況者が動画で参戦している。 『東方鳳凰伝』製作者 touhoudaisuki8488とある異変から7年が経ったある日の夜。外の世界に茨木華扇と共に幻想郷を離れ、自分の本当の能力を探しに向かった藤原妹紅が帰ってきた。しかし、妹紅は『とある目的』のため、八坂加奈子と共に作り上げた幻想海域に「霧の艦隊を送り、海を制圧。自身の最高の相棒であるリオレウスと、大親友のゆるぱむに空を支配させ、自身は己の炎で幻想郷を包み込んだ。支配された幻想郷を奪取するために立ち上がった水無月マグ、精霊愛香、茨木華扇を始めとする人物と『霊式の巫女』と呼ばれる謎の一族。『創造者』を巡る物語が今幕を開ける。 ※この劇場は『視聴者様参加型劇場』といい、抽選で選び抜かれた視聴者や実況者が動画で参戦している。 『ー人は、儚くも生きようとする。私はそれが美しいことだと思うー』by,藤原妹紅 『東方幽魔異変』製作者 藤魄寺夢子幻想郷にとある男性が一人現れた。彼の名前は藤魄寺夢子。西行寺幽々子の身体を借りて、幻想郷での生活を満喫している。しかし、西行寺幽々子の雇う庭師『魂魄妖夢』に追われ、いつしか彼は『目的』を果たすために幻想郷中の者達を倒すという大異変を起こす。しかし、幽々子との約束…先代巫女との誓い。幻想郷を守るために襲ってくる敵を一人でなんとかしようとしている夢子を回りの関係者や実況者が強力して共に戦う物語… ※この劇場は『視聴者様参加型劇場』といい、抽選で選び抜かれた視聴者や実況者が動画で参戦している。 『俺にはやらなきゃならねぇことがある。でも、今はこの生活を楽しみたいんだ。だから今は…聞かないでくれ』by,藤魄寺夢子 それとは別の幻想郷を作り出した者達のゆっくり劇場作品などをここにまとめてみるらしい。 『東方柳影記』製作者;takeyuki1227 :YouTubeで活動しているユーザー『takeyuki1227』が主催するゆっくり劇場。多数の実況者とのつながり…『幻想郷』はそれぞれの『意思』が生み出した『産物』である。 ※この劇場は『視聴者様参加型劇場』といい、抽選で選び抜かれた視聴者や実況者が動画で参戦している。 『ー君は疑問に思ったことはないか?この幻想郷において、多数の実況者が、幻想郷の同一人物と、独自の関係を持っているだろ?ー』 by,洒落香辺骸 『幻想再生譚』製作者zeru1948 外の世界から死んで幻想入りした『ゼル』という一人の少年が、生前病気で亡くなった妹の『水風杏梨』の兄への愛情が恨みに変わり幻想郷を『破滅』させようとする。 兄の責任として妹を救うために、仲間たちと共に妹を迎えに行く。 ※この劇場は『視聴者様参加型劇場』といい、抽選で選び抜かれた視聴者や実況者が動画で参戦している。 『ー俺の魂が荒ぶってるぜ!!ー』by,伊邪那岐命 『幻想館の陰謀-過去の引き金-』製作者lunaprism085:「エレメンタル水晶」と呼ばれる属性の宿るお守り。伝説の陰陽師「安倍晴明」が作り出し、晴明直属の部下達が現在に至るまでその製作方法を継いできた。そのエレメンタル水晶を持つ者達の中で激しい対立… 暁家の息子として、エレメンタル水晶と謎の妖怪に取り憑かれ暴走した弟のtoraを助けるために仲間たちと壮絶な戦いを繰り広げる… ※この劇場は『関係者様参加型劇場』といい、投稿者のlunaprism085様の近辺の実況者や知り合いの方々が参戦している。 『ー師匠が来る前に…終わらせます!ー』by,lunaprism085 『狂骨異変』製作者Tuukounin322:雲ひとつない綺麗な朝だった。古明地こいしの姉である古明地さとりから一通の手紙が古明地こいしの元に届く。博麗の巫女である博麗霊夢が異変を解決した次の日の宴会の真っ最中に『既に異変が発生している』と告げられる。それを知った実況者達と通行人は古明地こいしとともに『死のゲーム』を開始するのであった… ※この劇場は『視聴者様参加型劇場』といい、抽選で選び抜かれた視聴者や実況者が動画で参戦している。 『ーさぁ、素敵なパーティーしましょう!ー』by,???
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「まりさー、まりさじゃないまりさー。どこー?」 人間が聞けば頭を抱えるであろうその問いかけはゆっくりの中では不思議な事ではない。 まりさは自分の友人、すなわち自分とは別の個体である「まりさ」を探していたのだ。 「ゆふぅ・・・もう疲れたよ。」 友人の「まりさ」がいなくなってからもう二日が経っていた。ゆっくりの中にも日数を数えるなどという概念を持つものもいるにはいるようだがこのまりさに関して言えば数という概念すら怪しかった。 「まりさ、どこにいるの?」 まりさは他の友人達にも「まりさ」が行方不明になっているという事は伝えていた。 十数匹のゆっくりがまりさと同じ様に野を駈け草を分けて探してくれていた。しかし一向に「まりさ」が見つかる事は無かった。 人間の畑を襲いに行った時につかまって…と一部のゆっくりは考えていたが当の「まりさ」は森での狩りに楽しみを見いだすゆっくりだったので友人であるまりさはそのような考えは「まりさ」のことをよく知らない新参者によるものだと憤慨していた。 「ゆ〜、お腹へったよ〜。」 真面目に友人の捜索に集中しているとはいえそこは単純な生き物であるゆっくり故か、まりさの腹時計はちょうど正午を指していた。 「ゆゆゆ!おいしそうなキノコだよ!」 友人ではなく食料を探し始めたまりさの目に日頃食べなれたキノコが飛び込んできた。 群れの長やその側近からはキノコの中には毒をもったものもあるから不用意に食べるなとは言われていた。 まりさはその言いつけを頑に守っていたので今まで食事で痛い目を見る事は一度も無かった。 まりさの隣の巣のれいむは少し頭が弱かった事もあり見つけたキノコを片端から巣に持って帰っては子供達と一緒に食していたらしく、ある日のこと、友人のありすがれいむ宅を尋ねてみると一家全員が口から泡と餡を吹いて痙攣していたという。 「このキノコは食べれるキノコだね!まりさはこのキノコが大好きだよ!」 そう言うとまりさは小さく群生するキノコの一本にぱくりと食いついた。 「むーしゃ、むーしゃ、し・あ・わ・せー!」 一口飲み込む度に体を漂う満足感でまりさの顔はさっきまでの緊張にあふれた顔とは打って変わって気の抜けたものになっていた。 そこに一陣の風が吹いた。 「ゆゆゆっ!」 まりさはその目に入る風と巻き散る雑草、砂埃に耐えられずギュッと目を閉じた。 するとまりさはその直後妙な違和感を感じた。風は一瞬吹いただけだった。 しかしまりさの違和感は頬に伝わっていた風の感触が無くなった後にも残っていたのだ。 「なに?なにが起きた・・ゆゆゆ!!?」 目を開けたまりさは目に映った光景に唖然とした。そこには自分がまりさ種である証の大きな三角帽子が宙に浮いていたのだ。 正確に言えば浮いていたわけではない。箒にまたがった人間がその三角帽子のてっぺんを握りつぶすように掴んでいたのだ。 「ふむ、なかなかいい帽子だ。これはもらっていくぜ!」 そう言うと人間は森の奥へとぐんぐん進んでいった。 「まっでえええ!!まりさのお帽子かえしてええ!!!」 まりさは半狂乱になって人間を追いかけ始めた。 一ゆっくりである為に不可欠な飾りの一つである三角帽子、もし紛失しようものなら群れで暮らすどころかそれ以降生きていくことすら怪しくなってしまう。 「おぉ、なにやら幻聴が・・・これはいけない早く家に帰らなければ。」 「まりさだよぉ!まりさの声聞いてぇ!!」 「いやーしかしいい帽子が手に入った。あの木の根元は帽子の宝庫だな。」 「まりざのお帽子かえじでえええええ!!!!」 人間とゆっくりの奇妙なやり取りが森の中で響いた。 「ゆひぃ…ゆげぇ…おぼうし…かえじでぇ…」 まりさの体力もとうに限界をこえて更に12分が経った頃、ようやく人間の箒が止まり人家に入っていくのが見えた。 まりさは体力を振り絞り扉が開け放たれたその人家に這いずりながら進んでいった。 「おぼ…お帽子…!まりさのお帽子どこ…?」 家の中は灯りが無く森の木々に囲まれた窓からも大した光は差し込んでいないためまりさの眼には暗闇しか映っていなかった。 すると突如四方からパッと光が発せられた。全ての光の中心にはつり下げられた三角帽子がただ一つ。 「お探し物はこれかい!?」 「あああ!!まりさのお帽子ぃ!!!!」 暗闇から出てきた三角帽子に喜びと興奮が押さえきれないまりさは自分の頭上の遥か上にあるその宝物に向かって助走をつけてあらん限りの力で飛び跳ねた。 「ゆっぎゅぅー!とどけー!」 しかし、まりさの跳躍はつられた帽子にかする事すらできない程低い。ゆっくりと沈んでいくまりさの表情はその高度に比例するように暗く醜く歪んでいった。 「まりざのおぼうしー!!!」 虚しく頭上を見つめるまりさ。しかし空中にいる間、まりさはまだ帽子を諦めていなかった。 一度でだめなら何度でも、まりさは帽子を口にくわえるまで飛び続けるつもりだった。 「だしてー!!ゆっくりできないよー!」 ジャンプしてから10秒後、まりさは直方体の透明な箱にすっぽりと入っていた。 跳躍から地上へ帰ってきたまりさはちょうど着地点におかれていた箱に自ら進んで入る事になっていた。 三角帽子を取ろうとして力強く跳躍した事が仇となった。走る事も力を込める事もままならない狭い箱の中では先程の様な跳躍はできないため自ら脱出する事は不可能となってしまったのだ。 「やあやあまりさ、ゆっくりしてる?」 慌てふためくまりさの前方から聞こえてくる声、それは間違いなくさっき自分の帽子を奪っていった人間のものだった。 「ぜんぜんゆっくりできてないよ!お帽子返してー!!」 「これ?はいよ。」 「ゆっ?」 返せと言ってすぐに頭に乗せられたその帽子はまごう事無く長年かぶってきたまりさの三角帽子だった。 「ゆゆーん!お姉さんありがとう!」 「はっはっは、当然の事をしたまでだよ。」 何故帽子が無くなったのか、何故自分が箱に閉じ込められているのかということをまりさは深く考えない。 すでに帽子が帰ってきたという喜びでいっぱいだったのだ。 「じゃあお姉さん、まりさはもうお家にかえるからここから出してね!ここは狭くてゆっくりできないよ!」 「ダメです」 「ゆゆゆっ?」 「まりさは当分ここで生活してもらいます。」 「ど、どういうこと!?」 突然おかしな事をいう人間にまりさは戸惑った。こんな狭い箱の中で一体誰がゆっくりできるのか、いや、こんな友達もいない場所で時間を過ごすなど寂しがりやのまりさにとってはたまったものではなかったのだ。 「い…いやー!!だしてー!おうち帰るぅ!!!」 まりさは精一杯の抵抗として箱の中で暴れ始めた。しかし、箱の外側表面四方には重りがついているためまりさ一匹の力程度では箱は動くわけが無かった。 「あらら、なんでここに住むのが嫌なんだい?」 あまりに乱暴に抵抗するまりさに人間は不思議に思ったのか穏やかな口調でまりさに質問した。 「暗いよぉ!せまいよぉ!さびしいよぉー!!!ゆぅぅぅ!!!」 あらん限りの声で叫ぶまりさ。特に“さびしい”のフレーズに力が込められている事に人間は気づいたようだった。 「むむむ、暗いのと狭いのはどうしようもないが・・・寂しくはさせないぞ。」 「どうしてぇ!ここには友達がいないんだよ!!?」 すると人間は奥の暗がりでなにやらごそごそと物を取り出し始めた。まりさは涙目で人間の様子をみつめている。 人間が何かを抱えて暗がりから戻ってくるとその物体をまりさの目の前にどすんとおいた。 「お姉さん、ここはちょっと明るいね。まりさは少しだけ気分がいいよ。」 先程人間の家に辿り着いたまりさはその物体を見て絶句した。そこには午前中まで探していた友人の「まりさ」が自分と同じように箱の中に捕われていたからだ。 「ま、まりざぁぁぁ!!!どうしてこんなところにぃ!!!?」 「ゆっ!まりさ!!まりさこそなんでここに!?」 「えっ、知り合い?」 「そうだよ!まりさはまりさのお友達だよ!こんなところにいたんだね!」 「こりゃあ驚きだ、適当に捕まえてきた二匹が御友人とは…これは吉兆かな?」 「ゆっ?なんのことお姉さん?」 「いんや、ただの独り言。」 まりさは「まりさ」に出会えた幸運に歓喜したがどうも「まりさ」の様子がおかしい。二日前と比べて明らかに元気が無かった。 「お姉さん!まりさに元気が無いよ!早くここから出してあげて!」 自分が出たいという事もあるが何より友人の様態が気になるまりさは未だに顎に手を当てて何かを考えている人間に頼み込んだ。 するとまりさをちらと見た人間は思いついたような顔をしてこう言った。 「うーん、実はそのまりさは病気らしくてね。森で見つけたのを治療の為に拾ってきたのさ。だからそのまりさはちょっと元気が無いんだよ。そして私の見立てでは…お前も同じ病気だなあ。」 「び、病気!?まりさが病気!?どんな病気なの!」 まりさは人間の言葉を聞いて焦った。病気と言えば以前長から教わった風邪やカビなどと言うゆっくりにとっては命さえ危ぶまれるものであるという情報しか得ていなかったからだ。人間はそんなまりさを見つめふっと笑うと 「大丈夫、まりさ二匹は必ず私が治してやるからな。それまではおいしい食事をあげるしおやつもあげよう。でもお外には出れないんだ。」 「ゆー!お外に出てみんなと遊びたいよ!」 「外に出るとまりさの病気がお友達にうつっちゃうんだ。そしたら皆苦しむぞ〜。」 人間が軽く脅すように病気が伝染することを話すとまりさは動かない箱の中でがくがく震えだした。 「いいいいやぁ…皆に病気うつしたくないよぉ…」 「だろ?だから治るまでここにいてくれ。な?」 まりさは人間の申し出にしぶしぶ承諾した。友達思いのまりさにとって周りのゆっくりが苦しむ様を見る事は堪え難かったのだ。 「ゆぅ…じゃああとどれくらいでまりさ達はお病気が治るの?」 「そうだなあ…」 人間はちょっと考えると自信がなさそうにまりさの質問に答えた。 「三日後かな…」 ゆっくりいじめ系1899 魔理沙とまりさのキノコ研究 二日目につづく
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前 「じゃあ、また明日ねー」 分かれ道に着いた。 3つに分かれており、少年達はそれぞれ別の道で家路につく。 「ゆっぐふぅ・・・!までえええ!!!ゆっぐりまっでね・・・!」 「ゆゆっふふぅっ!ごども゙をがえじでねっ!」 後ろから、ボロカスになった皮を引きずって現れたのは親れいむと親まりさ。 道端の石を蹴飛ばしながら帰る、そんな遊びを親ゆっくりで楽しんだ結果だ。 手に握られた大事な子ゆっくりを返してもらうため、蹴飛ばされても蹴飛ばされても親ゆっくりは少年達に体当たりをし、蹴飛ばされた。 遥か頭上から最愛の我が子の声がする。 顔の皮が破れても、額から餡子が漏れても、底部の皮が磨り減って痛くても、親ゆっくりは跳ねることができた。 「まだついて来てるよ」 「しつこいね」 全身泥まみれ、皮は破れて餡子が見え、髪の毛もところどころ引きちぎれている。 綺麗好きのゆっくりにあるまじき姿だ。 「お!いいこと思いついた!」 ポン、と手を叩くタケ。 分かれ道になる手前で2人を止めた。 「おい、ゆっくりども。子供を返して欲しいか?」 タケは目線を親ゆっくりにまで下げ、右手に持った子まりさを突き出した。 それを見た親ゆっくりがスピードを上げ、タケに近づく。 「ゆっぐぅ!!がえじで!!れいぶのごどぼがえじでええええ!!!」 「おねがいじまず!!がえじでぐだざい!!」 顔を地面に近づけたり、遠ざけたりする2匹。 人間で言う、頭を下げる、ジェスチャーなのだろうかとシンは思った。 「ゆ!まりさもおかーさんのところにかえりたいよ!!!」 「ゆっくりかえりたい!!おねがいだからはなしてね!!」 「れいむはおかーさんとゆっくりしたいよっ!!」 3人が手に持つ子ゆっくりも騒ぎ始める。 唯一、コウの持った土れいむだけは苦痛に耐えるのに精一杯で、そちらにまで頭が回らないようだった。 「よし、じゃあ最後まで僕達ついてきたら返してあげるよ」 その一言で、これからタケが何をしたいのかコウとシンは即座に把握した。 「ゆ・・・っ!がんばってついていくよ・・!ごどもだぢ、ゆっぐりしてでね!!」 「まりざ、ぜっだいにこどもだぢをだずげるよ!!」 「ゆ!がんばっておかあさん!!」 「ゆっくりしないでついてきてね!!」 「みんないっしょにゆっくりしようね!!!」 意気込むゆっくり達。 そしてタケは家族の絆をブチ破る一言を放つ。 「じゃあどの子がいらないのか、よく考えてね」 タケが子まりさを野球のボールのように握り、親ゆっくりに見せた。 それと同じようにコウとシンも子れいむを親ゆっくりに見せる。 「・・・ゆ?何を言ってるの・・っ!?いらない子なんていないよっ・・・!!」 「ゆ、ゆ、ゆっくりしたごどもだよ・・みんなだいせづだよ!」 「コウちゃん、シンちゃん。また明日ね」 「ん、タケちゃん、シンちゃん。ばいばーい」 「2人とも、明日また」 3人は子ゆっくりを親ゆっくりに見せたまま、後ろ歩きで進む。 その道は3人とも別々だ。 「ゆっ・・!?どぼじで・・・どぼじでいっしょぢゃないど・・・?!」 「ゆぐぅ・・・びんないっじょにがえっでね!!!」 「僕達は家が違うからね。ここでお別れなんだよ」 「返して欲しい子供を持った人のところについておいで」 「ちゃんと返してあげるよ」 ゆっくりと遠ざかっていく3人。 「ゆ・・・!ありざ!!れいぶど分がれで、ちがう方へ行ごうね!!」 「ゆ!そ・・・ぞうだね!!」 考える知恵も餡子も少なかったが、とっさに親れいむは別々に子供を返してもらうことに気が付いた。 親まりさは、すでに親2匹で付いていくことしか考えていなかったのだ。 「ゆ・・でも、どのこどもを捨てるの・・・!?」 捨てる、という言葉が子ゆっくりに聞こえたのか、少年たちの手の中の子ゆっくりが一斉に騒ぎ始めた。 「ゆううう!!おかあざん!!!がわいいれいむをたすけでええええ!!!」 「ま!まりざのほうががわいいよおお!!!それにまりざがいちばんおっきいよ!!!ゆ゙っくりしてるよおぉお゙!!!」 「おかあざん!!れいむをだすけでええ!!!こっちにはもうひとりれいむがいるよ!!おとくだよ!!!」 子供たちの悲痛な叫びに、親ゆっくりは悩みはじめる。 しかし悠長に考えてるヒマなどない。 こうしているうちに、少年達はどんどん遠ざかっている。 「ゆ・・・!れいむ゙は、れいむ゙は一番大きいまりさをたすけるよっ!ばりざもゆっくりしないで判断じでね゙・・・っ!」 一番最初に誕生した我が子。 自分の始めての子供。 それが子まりさだった。 親れいむはその日の感動を忘れたことはなかい。 大好きなまりさと同じ、まりさ。 絶対に、なくしたくなかった。 親れいむは破けた底部をものともせず、タケのいる道へと跳ねていった。 「ゆ!おかあさんありがとう!!まりさはおかあさんとゆっくりできるんだね!!」 跳ね寄ってきた親れいむに歓喜の声を上げる子まりさであったが、残されたほうはたまらない。 「どぼじでえぇっ!?おがあざん!!れいむ゙がわいいよっ!?!」 「おがあざん!!おがあざんなんがゆっぐりできないよっ!!!」 それを見ていた親まりさは、一瞬、選ぶのを放棄したくなった。 しかしそれでは3匹の子れいむが全て死んでしまう。 ならば、心を鬼にしなければ。 親まりさは決断した。 「れいぶぅっ!ごっぢはまがせでねっ・・!そっぢはまがせたよ・・!」 跳ね寄ったのは、シンのほう。子れいむ1匹だ。 「どぼじでえ!?どぼじでそっぢなのおおおお!!?」 選ばれなかった、コウの手に握られた子れいむ。 それは子れいむが悪いわけではなかった。 親まりさは冷静に判断したのだ。 あの土が詰められた子れいむは、長くない。 むしろ、障害が残って家族のお荷物になる可能性のほうが高い。 だから、元気な子れいむがいるシンの道を選んだのだ。 これが親れいむであったら、迷わず2匹返してもらえるコウの道を選んだだろう。 実際に産んだ親なのだ、多いほうを選ぶ。 たとえ障害を持っていたとしても、可愛い我が子なのだ。 「よーし、ちゃんとついてこいよ。じゃーねーシンちゃん、コウちゃん」 「おーう、ばいばーい」 「じゃねー」 最後の挨拶をし、3人はそれぞれの道を歩いた。 タケが家に帰ると、ゆっくり煎餅が用意してあった。 今日のオヤツ、と台所から声が聞こえた。 手を洗い、戻ってくるとなにやら機嫌の悪そうな母親が立っていた。 「な、なに?」 「タケシ!あんたまた死んだゆっくりを庭に捨てたね!アリが沸くからちゃんと処分しろって言ってるでしょ!!」 反論の余地もなく、思い切りゲンコツを叩き込まれた。 「痛え!!」 「痛え、じゃない!早く処理してきな!!それまで煎餅は禁止!!」 ゆっくり煎餅の入ったお盆を取り上げられ、しぶしぶタケは庭に向かった。 「ゆっくりしないで!おかーさん!!ゆっくりしないでえぇぇっ!!!」 庭では、死んだ親れいむに子まりさがまとわりついていた。 コウ、シンと分かれてから、親れいむは石蹴りの石の代わりをずっと勤めていた。 付いてくれば返してやるというのに、あのバカは体当たりを繰り返すのだ。 せっかくだからとタケが蹴りで応戦していたためだろうか、家に付く頃にはいつ死んでもおかしくないほど衰弱していた。 死体となった親れいむは、餡子が目に見えて減っていた。 決定的な傷はないものの、漏れた餡子が多くて死んだのだろう。 庭に入った時点で、子まりさを返してあげたので、その直後に死んだに違いない。 きっと、高まっていた緊張感が解けたため、そのままゆっくりしてしまったのだ。 「しゃーない、埋めるか」 物置からスコップを取り出し、木の横に穴を掘る。 深さは1メートルほど。 あまり浅いとアリが湧いて、またゲンコツが落ちてくる。 「おい、どけ」 泣き喚く子まりさを投げ飛ばし、死体となった親れいむを穴に投げ入れる。 「やめて!!!おかあさんをうめらいれええ!!!」 無視して土をかける。 すると、子まりさが穴に飛び込んだ。 「おねがいじばす!!おがあざんをごろざないでぐだざい!!」 「もう死んでる」 穴の横に積んであった土の山を一気に崩し、子まりさごと穴に埋めた。 「さーて、煎餅食ーべよっと」 「ゆ・・・!もうずぐだよっ・・・もうずぐゆっぐりできる゙おうぢだよ・・!」 親まりさは子れいむと共に農道を跳ねていた。 「ゆ!これでゆっくりできるね!かわいいれいむをえらんでくれてありがとう!」 満面の笑みで微笑む子れいむとは対照的に、親まりさは顔面蒼白だ。 分かれ道で親れいむと分かれてから、親まりさはただシンについていった。 体当たりや罵声に意味がないことに気が付いたのだ。 それよりも、体力を温存することを得策とした。 結果、それは正しい選択であった。 親まりさは知らないが、親れいむは無謀にも体当たりを繰り返して死んだ。 「おうぢで、れいぶのがえりを待とうね!」 何とか笑みを作って、子れいむを安心させる。 そう、もう巣穴のすぐ近くまで来ていたのだ。 まずは体力を回復させるために、巣穴に残ったご飯を食べよう。 確か昨日大量に確保したエサが保存してあるはずだ。 れいむの分も取っておかなきゃならないけど、半分なら食べても大丈夫だろう。 そんなことを親まりさは考えていた。 「お前はいらない子だったんだね」 コウは手の中で泣く子れいむに話しかけた。 「ゆうっ・・!ゆうぅぅう・・・どうじで・・・どうじでええ・・・・」 親ゆっくりが自分を選んでくれなかったことがショックだったようだ。 まるでコウの話など聞いていない。 「僕もいらないよ。殺さないから勝手に生きて行ってね。こっちのれいむで十分だよ」 こっち、といって見せ付けるのは体に土を入れられ、声が枯れても苦しみ続ける子れいむ。 珍しいゆっくりは面白い。 親に捨てられただけの平凡な、どこにでもいるゆっくり霊夢の子供などコウの関心の範囲外にいた。 「お、コウジ君じゃないか!今帰りかい?道草食いすぎだぞー」 家も近くなった頃、コウの前にリヤカーを引いた近所のお兄さんが現れた。 「あ、お兄さん!見てみて!すごいゆっくりだよ!!」 お兄さんはゆっくりのエキスパートだ。 コウはお兄さんとゆっくりの話をするのが好きだった。 「お、なんだこのれいむは?ぴくぴくしてるぞ。後ろにいるのは普通のっぽいが」 後ろの、と言われてコウが振り返ると、さっき捨てたはずの子れいむがいた。 親に捨てられ、行くアテがないのだろうがコウにはどうでもいいことだ。 「これね!餡子を減らして変わりに土を入れたんだよ!頭の部分が外れるから見てよ!」 土れいむを受取ったお兄さんは頭頂部をめくり、詰め込まれた土を見た。 「すごいね!コウジ君。これはかなりの上級テクニックだよ!」 「え!これって凄いの?」 笑顔いっぱいで、お兄さんは質問に答えてくれる。 「これはね、餡子の再生を土で妨害できるんだ。餡子を補充しようにも、そこには土があるからね。決して回復しないんだよ」 「へぇー!」 「だから、この子れいむからはずっと土の痛みが消えないんだよ。まあ、成長したら餡子が増えるけどね」 「でも、土はずっとこのままなんでしょ?」 「そう、よく分かってるねコウジ君!いくら餡子が増えても、この土は外に排出できない。つまりずっと苦しむことになるんだ」 「ふーん」 「これは加工所でも使われてるテクニックなんだよ。あっちは衛生に問題のないプラスチックなんかを入れるみたいだけど」 嬉々として語るお兄さんの目は、まるで少年のようだ。 「何かいいことがあるの?」 「あるある。苦しめば苦しんだだけ、ゆっくりの餡子が美味しくなるのは知ってるね?」 「うん」 「つまり美味しい餡子を作るために、加工所の研究室で生み出された飼育方法だよ。これを発見しちゃうなんて、コウジ君、やるじゃん」 ゆっくりのエキスパートにほめられ、なんだか嬉しくなるコウ。 ふと、お兄さんが引いているリヤカーに目が行く。 風呂敷がかけてあり何を積んでいるのかわからない。 「お兄さん、それなに?」 「ああ、これか。これは川の向こうにゆっくりアリスの群れがいるって教えてもらってね。捕獲して帰ってきたんだ」 お兄さんが風呂敷をめくると、透明な箱にところせましとゆっくりアリスが詰まっていた。 箱にぎゅうぎゅうに入っているため、声も出せないようだ。 「わあ!ゆっくりアリスだ」 「欲しければ1匹あげるけど?」 「ん、いらないや。僕、このれいむを育ててみる」 土れいむをお兄さんから返してもらい、コウは両手で抱えるように持った。 「それじゃあ頭をきっちり塞いだほうがいいね。暴れたら餡子が出ちゃうし、アリも寄ってきちゃうから」 「どうすればいいの?」 「小麦粉を水に溶いて、傷口に塗るといいよ。一晩もあれば再生するはずだから」 やっぱりお兄さんは凄い。ゆっくりのプロなんだ。 コウはお礼に、足元のいらない子をプレゼントした。 「じゃあ、お兄さんがたっぷり可愛がってあげるからね」 なんだか黒い笑顔だったけど、コウは気にしなかった。 「お兄さんありがとー!頑張って育てるから、あとで見せるね!楽しみにしててねー!!」 コウはお兄さんと別れると、次々に沸く好奇心を押さえながらスキップで家へと向かった。 作:アルコールランプ ♪ 後書き 私のイメージでは、ゆっくりって幻想郷のそこらへんにウヨウヨ沸いてるんです。 虫みたいな感じ。 子供の頃、トンボを引きちぎったり、コンクリートにたたきつけたり、カエルを爆破したり。 やったこと無い人のほうが少ないんじゃないかなーと思います。(特に田舎育ちの男子) 少なくとも私の周りではみんなやってました。 トンボの羽を左右に切り開く「シーチキン」という殺し方、羽を全部毟って飛べなくして橋の上から投げること。 捕まえたトンボ同士を無理矢理交尾させたり、無理矢理シッポの部分を噛み付かせて卵出させたり。 逃げるカエルに土の塊(畑から拾った)を投げつけて、当てた人が優勝とか、今思うとかなり酷いことをやっていたと思います。 でも、そのとき私や友人は「トンボって見ててムカつく。ぶっ殺してやる!」とは思ってませんでした。 面白いから、それだけの理由で悪意はなかったんですね。 羽千切ったらどうやって飛ぶのか、切り開いたらどうなるのか、たたきつけたらどうなるのか。 言ってみれば、好奇心の先走りのような、そんな感じです。 ただ純粋に、殺すの楽しかった面も無くはないですけど。 今回、ゆっくりにやっている虐待(虐殺)は私と友人が子供の頃にやった「遊び」を元にしています。 それと、実際にゆっくりがいたらこんなことしただろうなーってのも。 本当は、ゆっくり釣りもやりたかったんです。 ザリガニ釣りのように、千切ったゆっくりをエサにして巣穴からゆっくりをおびき出す釣り。 それで釣れたゆっくりをまた引きちぎって、エサにする。 楽しそうだね!ゆっくりできそうだよ!! ちなみに爆竹壺は私が小学校1年くらいのときに開発した遊びです。 使ったのはゆっくりではなく、ナメクジでした。 ナメクジを一箇所に集めて、隣に爆竹を置き、逆さにしたツボをかぶせるんです。 そんで爆破の後に壺をあけると、ナメクジがいなかったのですよ。 「あれ?」って思って壺をよく見ると、バラバラになったナメクジが壺内部にみっちり張り付いてるの。 爆破の勢いで地面にいたナメクジが吹き飛んで、ツボの内部にこびりついたワケです。 SS中の描写だとちょっと分かりにくかったかな? その後、爆竹すげー!!って話題になって、それからはカエル入れたりミミズ入れたりして友人一同で楽しみました。 子供の好奇心ってのは残虐な遊びに繋がることが多いですよね。 さすがに大人になった今では、そんなことしたくないですけどね。 それに最近では虫に触るのが苦手になってきました。 イトコの子供に「おじさん、カブトムシ持ってて!」といわれて掌に乗せられたときは鳥肌モノでした。 アブラゼミを友人一同で集め、100匹近くで収拾してたあの日はどこへやら、セミに触るのも嫌です。 子供の頃は平気だったのになあ・・・。 ゆっくりがいる世界の子供達の「遊び」が書いてみたい、そう思ってこのSSを書きました。 おわり。 作:アルコールランプ このSSに感想を付ける
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ある男が居た。 まじめで、明るく皆から頼りにされる男だった。 そんな男は、洪水で氾濫しそうな川に土嚢を敷いている最中に川に流されて死んだ。 危険な箇所、誰も行きたくない箇所の作業での事故。 まさに、その男の生き様を象徴するような事故だった。 ……その男が残したレポートがある。 数冊にまとめられたそのレポートは、幻想郷に住まうある物体の観察を記したものだった。 その物体の種族名はゆっくり。 幻想郷で家・畑問わず荒らしまわっている害蟲である。 そのゆっくりについて書かれたレポートの、最初の観察を読んでみることにする。 今日から、ゆっくりについての観察したデータをまとめる事にする。。 記録などした事がないので、日記のようにまとめていこうと思う。 その日は長かった残暑もひと段落し、逆に暖房が欲しいほど冷えた10月の初め。 今日は近くの森からゆっくり霊夢の一家を家に連れてきた。 聞けば、何日か前に散歩から帰ると、魔理沙種に家を取られておりその日から何も食べていないらしい。 なるほど、近くの洞穴を見るとゆっくり魔理沙一家が元気よく過ごしていた。 これまた、ほのぼのする様な一家の光景だ。 「おじさんの家でゆっくりしないかい?」 籠から大きな肉まんを差し出しながら一家に提案した。 これだけで良い。 肉まんの足の先から羽に至るまで数分で食べつくしたゆっくり霊夢一家は、先程とは打って変わって、ワイワイと自分の後ろをついて来た。 「ゆっくりできるね!」 「おいしいものもたくさんたべれるね」 賑やかに後ろをついてくるゆっくり一家。 少ないが、食べ物を口に入れたことで少しは元気が出たのだろう。 「ここがおじさんの家だよ」 「ゆ! おおきいね!」 「おじさんのおうち、とってもおおきいね!」 ご機嫌を取ろうと、口々にお世辞の言葉を話すゆっくり達。 さすがに家のものを壊されちゃかなわないので、早々に庭の離れへと連れて行く。 離れは、和風建築の家には珍しく入り口は引き戸になっている。 その中は和風そのもの、違う点といえば珍しい石油ストーブが置いてあることだ。 珍しいものを見たからだろう、興味津々でその周りに集まるゆっくり一家。 「ゆゆっ! あったかい! おじさんこれあったかいよ」 「なつみたいだね!」 「それはストーブって言って、部屋を暖かくするものだよ。あんまり近づくと火傷するから気を付けてね」 放っておいて、そのままダイブしたら危ないので注意する。 直ぐに全員に伝わったらしく、はぁーいの大合唱が返ってきた。 「寒かっただろ、暫くここで過ごせばいいよ。外に出たかったら言ってくれれば何時でも出してあげるから」 「おじさんありがとう! ゆっくりするよ」 信用されたのか、あちらこちらに散らばっていたゆっくり達も、ゆっくりするよと声をかけてきた。 一家で散歩するなら、自分の畑に連れて行って取れたての野菜を食べさせるのも良いかもしれない。 きちんと、言って聞かせれば大丈夫だろう。 しかし翌日も、その翌日もゆっくり達は部屋から出てこなかった。 食事はきちんと与えているので、共食いの心配はない。 寧ろ最近は、食事の量を増やせといってきた。 快く応じる、どうせ野菜は一杯あるのだ。 ストーブも石油が切れないように心がける。 「おじさん! はやくいれてきてね!! ゆっくりできないよ!!」 「ゆっくりできないよ!」 お母さんゆっくりが偉そうに急かしてくるので急いで石油を入れる。 子供達が温まれないのを嘆いているのだ、無理に怒っても仕方が無い。 「ごめんね、遅れて。今火をつけるからね」 「おそいよ! もっとゆっくりはやくしてね!!!」 母親が強気に出ているのに気付いたのか、子供達も自分にタックルしてきた。 取り合えず、その場は謝って部屋を後にする。 一ヶ月と時間が過ぎて、綺麗な紅葉も地面に還ろうとしていた。 勿論、ずっと部屋に居るゆっくり達には、残念ながらその変化は感じられなかったようだ。 一緒に散歩に行こうと誘っても、ここでゆっくりしてるよと言って一緒にきてくれない。 母親に居たっては、途中で美味しいもの見つけてきてね、と言う始末だ。 しかし、初めに家でゆっくりしていいよ、と言ったのは自分なので悪くいう事は出来ないが、全く遠慮と言う言葉を知らないようだ。 それから更に一ヶ月あまり過ぎ、相変わらずゆっくり一家は離れに居座り続けた。 おそらく、ゆっくり達にとっては至宝の時間だったのだろうが、こちらもこの時期は色々と忙しい。 さすがに十数匹のゆっくりの面倒は見ることが出来ない。 残念だが巣に帰ってもらう事にするほか無いようだ。 「おじさんなにいってるの? ゆっくりたちのおうちはここだよ! はやくたべものもってきてね♪」 分かっていたことだが、ゆっくりの頭の中ではここが自分達の巣になっているらしい。 随分おめでたい頭をしてので、お母さんゆっくりにもう一度『お話を聞いて』貰ったら、今度は直ぐに嘘を認めた。 「ごめんなざい! ゆぐっりたべれだがらごごにいまじだ!」 誠心誠意謝ってくれた、あのゆっくりが自らの過ちを認めてくれたことは嬉しかった。 やはり話し合いと言うのは大事である、これはゆっくりにも共通しているようだ。 逆にこちらが恐縮してしまったので、離れる前に最後の食事として沢山のわたあめを持たせてあげた。 大きな袋に入れたので持てるかどうか不安だったが、子ゆっくりも全員きちんと口で挟んで運べるようで一安心。 「おじさん! こんなにありがとう!」 「おうちにかえってゆっくりたべるね!」 「さよなら!!」 「おじさんゆっくりしてね!!」 思い思いの言葉を話して別れを惜しむゆっくり達、全員が扉の前に集まったのを確認して扉を開けた。 ゆっくり出来たといっても狭い部屋だ、普段から広い外の世界を走り回っていたゆっくりは窮屈だったのだろう。 扉を開けたとたん勢いよく飛び出すゆっくり一家。 「ゆ! さむいよ」 「さむいよ! さっきまであったかかったのに!!」 「おじさん! へんだよ、きゅうにさむくなったよ!」 別に変な事は何もないんだけどなぁ。 「だって今は冬じゃぁないか。君達がこの部屋に住みだしたのは秋の初め頃だろ? 寒いだろうと思って今までストーブをつけていたのを忘れたのかい?」 ……どうやらそこまで馬鹿じゃないらしい。 俺が言ってから、少し時間がかかったが全員が理解したらしい。 おやおや、雪遊びでもしたいのかな? みんな元気よくガタガタとはしゃぎ回っている。 既に幻想郷は一面中銀世界だ、これだけ雪があればさぞかし楽しいだろう。 「それじゃあ、さよなら。気を付けて帰るんだよ」 楽しそうにしているゆっくり達家族の団欒に、踏み込むなんて無粋な真似はしないさ。 玄関の外まで案内したら、そう一声かけて門を閉じた。 ちょうどチラチラと雪も降り始めた、少し硬そうな雪なのであまり積もらないだろう。 目を閉じると、今までゆっくり達を過ごしていた日々が蘇った。 同時に何故一家を家に置いていたのかも思い出した。 参った、最近は忙しかったからすっかり失念していた。 イケナイ、イケナイ、善は急げだ。 幸い玄関先を確認すると一家はまだ近くにいたので、邪魔をしないように裏口から巣へ向かった。 ゆっくり一家の巣へまでは、これまで何度か足を運んでいるので簡単にたどり着いた。 さすがに冷えるのだろう、ゆっくり霊夢の巣の入り口には、以前来た時にはなかった大量の松葉と石で見事に塞がれていた。 時間が惜しいので乱暴に蹴り崩す、早くしないとゆっくり霊夢達が戻ってきてしまうかもしれない。 散らばったそれらを退かすと、中にはゆっくり団欒していた魔理沙一家。 皆一様に自分に視線を送っていた。 「おじさん、またきたの! ここはまりさたちのおうちなの! あとかられいむたちがうばおうとしたからおいかえしたの!!!」 またまた、お母さん魔理沙が突っかかってきた。 数匹の子魔理沙は随分と大人しいのだが、何時もこれが頑固に自分の家だと主張するので言い争いになっていた。 「もうすぐ霊夢たちが帰ってくるんだけど? やっぱりここを出て行かないのかい?」 「おじさんしつこいよ! ここh!」 時間が惜しい、やっぱり返事はいらないよ。 言葉の代わりに、お母さん魔理沙を外に引きずり出した。 「ゆゆ! おじさんなにするのゆっくりできないなら、すぐにゆっくりいりぐちをなおしてかえってね!!!」 「お菓子をくれようと思ったんだけど……」 「ゆっ! おかし! たべるたべる!! おじさんはやくちょうだい!!」 「わかったよ。おーい、君達にもあげるよ!」 「おじさん!! はやくちょうだい!!」 子供達を呼んでいる間中、お母さんゆっくりはずっとそんな事を言っている。 「わかったよ、口を大きく開けてね」 余りにも煩いので、先にお菓子をあげる事にした。 「!!!???」 涎を流しながら大きく開けている口へ勢いよく押し込める。 とても美味しかったのか、楽しく跳ね回っている親は放っておいて、子供達にもキンキンに冷えたアイスキャンディーを数本、口に押し込んだ。 やはり、親と同様に元気一杯跳ね回る。 ほのぼのとした雰囲気だったが、時間が迫っているのを思い出し、約束通り一家には他所へ移ってもらう事にする。 霊夢達に返してもらうよ、と一声かけて次々と裏側の崖へ落としていく。 この深い谷の下なら、洞窟も沢山あるし雪が入り口を塞いでくれるから、中はとっても暖かくなっているだろう。 別に子ゆっくりはここに残しても大丈夫そうだったが、以前よんだSF超大作にこんな台詞があった。 「間違った指導者を選んだ者の末路だ」 そういうことなので一家全員で、新しい家を探してもらうことにした。 食べ物も与えたし、巣を探しているくらいの間は大丈夫だろう。 あぁ、そういえば霊夢達もストーブの効いた部屋で美味しそうに食べていたなぁ。 ゆっくり達にとっては、冬場の方がアイスを美味しく感じるのだろうか? 夏場にあげた事はないからなんとも言えないが。 等と考えている間に、辺りは薄暗くなってきた。 それにしたがって辺りから物音が消えていく、無音の中で深々と雪が降っているだけだ。 急いで散らかしてしまった石や松葉をかき集める、これは霊夢たちが使っていたのかもしれないから。 しかし、中の食べ物は魔理沙達のものだろう。 さすがのゆっくりと言えども、家をのっとったモノの食べ物は食べたくないだろう。 仕方がないので、全て俺が持って帰ってあげることにした。 ヤギの餌くらいにはなるから。 黙々と袋に詰めていると、日は更に傾いていた。 同時に訪れる、普通の黄昏時とは違う恐怖心。 これ以上ここにいるとこちらの身も危ない、なによりゆっくり達とかち合ったら折角の親子水入らずの邪魔をしてしまう。 手早く荷物をまとめて家路を急いだ。 門の前に着くと、既にそこにはゆっくりの姿はなかった。 巣に戻ったのだろう。 空き巣を心配して裏口を確認するが異常は無いようだ、きちんと鍵をかけていたので当たり前と言えば当たり前なのだが。 その後、食事をして風呂に入り、この記録を書いている。 この二ヶ月間、ゆっくり達を観察して分かった事は以上の通りだ。 明日からは、町外れの木の室に住んでいるゆっくりパチェリーについて観察してみようと思う。 仲良しの霊夢種と魔理沙種と共に越冬しているかもしれないが、それはそれで貴重な記録が取れるかもしれない。 三匹くらいなら十分に面倒を見ることも出来る。 なにより、一人には広すぎる我が家が賑わうのは喜ばしいことだ。 あまり役には立ちそうもないが、ゆっくりを愛する人がこの記録を読んでくれることを切に願う。 想幻210年12月31日 パタン。 今読んでいた本を一旦閉じで目線を上げる。 その先には、紅茶とお菓子をお盆に載せた赤髪が綺麗な司書。 「小悪魔ご苦労様。取り合えず休憩にするから、紅茶をもう一つ持ってきてくれる?」 「??」 対する司書―小悪魔はキョトンとしている。 もうボケたのか? また唐辛子が入ってると思っているのか? いやいや、今日は入れていない 二個いっぺんに飲み干す魔法でもあるのだろうか?。 「あなたも一緒に飲みましょう?」 合点がいった、要するに一緒に飲んだくれよう、と言うわけだ。 「今度は何を読んでいるんですか?」 自分用の特上の紅茶を入れて戻ってきた小悪魔が尋ねる。 パチュリーが自身で手に入れてきた本なので、まだ内容は知らないのだ。 「ゆっくりを可愛がっていた男が残した飼育データよ」 紅茶の違いに気付き、手を伸ばしながら答えるパチェリー。 「そんな本だったんですか? それを持ってくるの苦労したんですよ。パチュリー様と違って、力のない私は水の流れを変えるのだって大変なんですから」 それよりも早くカップを口に運びながら答える小悪魔。 「濡れるのはあなた一人で十分よ。それにこれ面白いのよ、あなたにも後で読ませてあげるわ」 「はぁ。……おかわりをお持ちしますね」 本気でサマーレッドを撃とうとしている事に気付き、急いで特上の葉で唐辛子入り紅茶を作りにいく小悪魔が答える。 外に出歩かず、ゆっくりを見たことがなかった二人は、アレ以来ゆっくりをいじめる事がブームになっていた。 「本当に興味深いわよ。この資料」 男の願いが叶い、その資料はとてもゆっくりを愛している魔女の大図書館に、大切に保管させるだろう。 おまけ編
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『ゆっくり釣らないでね!!!』 「ゆっくりしていってね!!!」 美しい森の中、ゆっくり達の声が響き渡る。 人里から遠く離れてはいるこの森は外敵が少なくて食料が豊富なゆっくりプレイスだった。 そんな安らげる場所で育ったゆっくり達もまた、非常にゆっくりとしていた。 そんなゆっくりの群れの中にいる子供のれいむもまた日々を平和に過ごしていた。 子れいむの家族はお母さんれいむと姉のまりさとれいむ、後は二匹の妹れいむの六匹家族。 とてもゆっくりしている仲良し家族だ。 「おかーさん! きょうはどこにいくのぉ?」 「ゆゆ、みんなのところにいこうね」 「ゆっっくりいこうね!!」 「みんなとあそびにいこうね!!」 「ゆっくちー!」 子れいむ達はいつも群れの皆が集まる広場へと遊びに向かった。 途中で同じ場所に向かう他の家族と合流しつつ広場に着くとすでにこの群れの大半のゆっくりがそこでゆっくりしていた。 友達とカケッコするもの、草を使って綱引きするもの、身を寄せ合ってうとうとするもの、合唱するもの。 どのゆっくりも自分がしたいように、自由にゆっくりとしていた。 「ゅー! れいみゅこっちであしょぼうよ!!」 「ゅーん! いまいきゅよ!!」 「ゆっくちあしょぼーね!!」 妹れいむ達は他の家族の赤ちゃんに誘われて遊びに行ったようだ。 お母さんれいむもそれに付いていった。 「まりさはあっちにいくね!!」 「れいむはともだちにあってくるね!!」 姉まりさは恋人のれいむに会いに行った。近いうちに一緒に住むらしい。 姉れいむも姉れいむで友達のグループに向かったようだ。 残った子れいむは今日は何してゆっくりしようかな、と考える。 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆゆ? ゆっくりしていってね!!!」 考えてた子れいむに話しかけたのはよく一緒に遊ぶ友達の子ゆっくり達だった。 今日は友達とゆっくり遊ぼうと決めた子れいむは友達の輪に混じり、きゃいきゃいと遊び始めた。 とてもゆっくりとした時間。 どのゆっくりも幸せそうな笑顔を見せている。 子れいむもまた、そんなゆっくり達に囲まれて幸せを感じていた。 そして、世界はゆっくり出来る事で溢れていると信じていた。 そんな時に子れいむは人間と出会った。 「おぉー、結構いますね」 「ああ、こんな奥地まで来た甲斐があるってもんだ」 「どれも元気なゆっくりだな」 「それだけここが平和な場所なんでしょ。ゆっくりにとって」 「………」 みんなの広場に5人の人間が姿を現した。 どの人間も大小の籠をいくつも持っている。 「にんげんさんだー! ゆっくりしていってね!!!」 「ゆゆっ? にんげんさん?」 「ゆーん! はじめてみたよ!! ゆっくりしていってね!!!」 こんな森の奥では人間に会うことなどまず無い。 しかし代々受け継いだ知識ゆえにこの動物が人間だとゆっくり達には理解出来ていた。 それでも初めて見る人間達に興味津々のゆっくり達は人間の周りに集まっていく。 子れいむも同じで人間の足元でピョンピョンと跳ね回る。 「にんげんさん! ゆっくりしていってね!! ゆっくりしていってね!!!」 「ここはゆっくりできるばしょだよ!! いっしょにゆっくりしようね!!」 「おいしいおはなさんもあるよ! いっしょうにたべようよ!!」 「随分と人懐っこいな…」 「しかし里近くのゆっくりとはやっぱ違うねぇ」 そう言って男は近くにいた子れいむの頭を撫でる。 大きくて暖かい手に撫でられるのはとっても気持ちよくて思わず、 「ゆゆーん……!」 なんてちょっと恥ずかしい声を出してしまった。 それを見た他のゆっくり達は羨ましがる。 「れいむいいなぁ…」 「まりさもにんげんさんとゆっくりしたいよー!」 「れいみゅもなでなでされたいよ!」 そんなゆっくり達に人間は優しく話しかける。 「それじゃあこっちにおいで。遊んであげるよ」 その言葉にゆっくり達はパーッと顔を輝かせた。 そして人間さんとゆっくりしようと人間の下に駆け寄る。 「一匹ずつ遊んでやるからな」 「ゆっくりあそんでいってね!!!」 人間たちは一匹ずつゆっくりを掴むと撫でるわけでもなく、籠へと投げ入れていった。 大きい成体ゆっくり、それより少し小さい子供ゆっくり、後は赤ちゃんゆっくりの3つに分けて別の籠に入れていく。 最初は「ゆーっ」などと喜んだゆっくりだったが、次々と仲間が籠に入ってきて窮屈になるとさすがに不満を挙げ始めた。 「にんげんさん、ここじゃゆっくりできないよ!!」 「そとでゆっくりあそびたいよ!!」 子れいむも籠に入れられ、子れいむの下には友達のまりさが苦しそうにしている。 上からは友達のれいむが圧し掛かってきて苦しい。 背中からは友達が押してくるので身動きが取れなかった。 目の前にある籠の僅かな隙間から外の様子を見ることが出来る。 仲間が、友達が、お母さんもみんな捕まっていく。 (にんげんさんはへんなあそびをするんだね。でも…) 「にんげんさん、くるしいよぉ…」 仲間が捕まっていくのは人間のそういう遊びだと思っている子れいむにとっては窮屈で苦しいことだけが問題だった。 しかし顔が籠の内壁に押し付けられてるのでくぐもった声で人間に呼びかけるが人間にその声は届かない。 人間はさっきまでの笑顔はどこへやら、無表情にゆっくりを籠へと放っていた。 でも逃げようとするゆっくりはいない。 なぜならゆっくり達はこれを遊びだと信じ、 さらには籠に入った仲間の苦しそうな声など聞こえていないのだから。 そうしてゆっくりの詰められた籠には蓋代わりに布を被され、紐で縛って固定された。 それからどこかで待機していたまた別の人間が現れて籠を運んでいく。 人間がこの広場に現れてから一時間。 たったそれだけの時間でこのゆっくりプレイスに住むゆっくりの群れはいなくなってしまった。 子れいむの入った籠も運ばれていく。 目の前の僅かな隙間から外の見れるれいむには分かってしまった。 自分達がおうちから、そして生活圏から離れてしまっていることに気が付いたのだ。 「ゅ、にんげんさん どこへいくの?? おうちからはなれてるよ??」 その子れいむの言葉に周りのゆっくり達は驚いた。 外の様子が見れないゆっくりは籠の揺れを「ゆれてるね~」程度にしか考えてなかった。 むしろゆっくり揺られるのが楽しくなってきた者すらいた。 だがおうちから離れていくと知れば楽しんでる場合ではない。 「にんげんさんどこいくの!? ゆっくりおしえてね!」 しかし人間は答えない。 「おねがい、へんじしてよぉ」 「いっしょにゆっくりしたいよ!」 「にんげんさんといっしょにゆっくりさせてよー」 純粋に人間さんとゆっくりしたいだけなのにどうして返事してくれないんだろう。 ゆっくり達は寂しくて、悲しかった。 そして何よりもおうちから離れていくことに不安を感じていた。 しばらくするとゆっくりの入った籠が森の外で待機していた馬車の荷台に積まれた。 籠の中のゆっくり達は人間と遊ぶことは諦め、それよりも窮屈な籠から出ておうちに帰りたがっていた。 「ゆー、にんげんさーん。もうおうちにかえるー」 「このなかはせまくてゆっくりできないよ! おそとにだしてね!!」 「おかーしゃんにあいちゃいよ! ゆっくちしちゃいよー!!」 だがその言葉は聞き届けられることはなく、ゆっくり達の旅は続いた。 草原を越え、 大きな河を越え、 山を越えた。 山を越えたところで日は沈んで辺りは闇に包まれた。 籠の中でのオシクラ饅頭にも慣れ、周りの仲間とボソボソと話していたゆっくりも、 何も見えない夜になると一匹、また一匹と眠りについた。 明日は人間さんにおうちへ帰してもらってゆっくりしよう。 一生あのゆっくりプレイスには戻れないことを知らない子れいむはすやすやと眠りはじめた。 子れいむが目を覚ますとそこは見知らぬ場所で、一見洞窟のようだった。 実際は洞窟ではなく建物の一室なのだが、野生を生きるゆっくりに知る由もなかった。 子れいむが籠の隙間から外を覗くと、他の籠に詰められたゆっくり達が一匹ずつ外に出してもらっていた。 窮屈な籠から解放されたゆっくり達は背伸びしたり跳ね回ったりして開放感を味わっていた。 子れいむも程なくして外に出された。 「だしてくれてありがとう!! ゆっくりしていってね!!!」 もちろん出してくれた人間さんにお礼を言うのを忘れない。 床に降ろされた子れいむはまずお母さんを探す。 少し見回せばすぐにお母さんは見つかり、まだ赤ちゃんの妹たちが甘えてくるのに身を任せていた。 ちなみに姉の二匹はほぼ大人なので恋人や友達と一緒にゆっくりしていた。 「ゆっ、おかーさんゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!!!」 たった一晩でもお母さんと離れ離れだったのが寂しかった子れいむはいつもより長めに頬を擦り合わせた。 「ゆーん…おかーさんゆっくりー」 「おもうぞんぶんゆっくりしてね!」 「おねーちゃんれいみゅともゆっくちー!!」 「いっしょにゆっくちしようね!!」 甘えさせてくれるお母さんと甘えてくる妹たちの温かみはとても心地よかった。 ずっとこうしていたいぐらいだった。 しかしそんな安らげる時間も人間の声に妨げられた。 「はーい、ちゅうもーく!!」 パンパンと手を叩きながら現れたその人間に部屋の中のゆっくり達は注目する。 その人間は部屋をぐるりと見回してゆっくり達が話を聞こうとするのを確認すると話し始めた。 「今日からみんなはここで住むことになりまーす」 「ゆ"っ!?」 「ど、どういうことなの!?」 「ゆっくりせつめいしてね!!」 どのゆっくりも驚きを隠せない。 いくら暢気で素直なゆっくりだとしても突然知らない土地に住むように言われて、 「うん、ゆっくりくらすね」だなんて一つ返事で了承するほど馬鹿じゃない。 「どういうことも何も君たちはここで住むのは決定済みなんだよね。 まー、ゆっくりしていきなよ」 全く理解できなかった。 子れいむは人間の言っていることの意味が分からないのでお母さんに聞いたが、お母さんも良く分からなかった。 ざわめくゆっくり達だったが、やがて一匹のまりさが人間に質問する。 「ここはゆっくりできるの??」 本当にここに住むとした時、ゆっくり達にとって最も重要な条件。ゆっくりがその有無を聞くのは当然である。 その質問に人間はにっこりと笑顔を作って答えた。 「ゆっくり出来ないよ」 部屋の中の時間が数秒止まった 「なんでゆっくりできないの!?」 「ゆっくりできないならおうちかえるぅー!!」 「れいむたちはゆっくりしたいよ! にんげんさんゆっくりさせてよぉ!!」 「ゆっくりもとのおうちにかえしてね!!」 ようやく人間の言葉を理解したゆっくり達は一斉に騒ぎ始めた。 しかし人間はそんなゆっくり達を無視して次の言葉をつむぐ。 「まあ待て。 そんな君達にここでもゆっくり出来る方法を教えてあげよう」 「ゆ? ゆっくりできるの!?」 「ゆっくりしたいよ!! にんげんさん、ゆっくりおしえてね!!」 ゆっくり出来る、と聞いた途端にゆっくり達は目の色を変えた。 そして騒ぎ立てずに人間の次の言葉を待つ。 「これを見ろ」 人間は壁に立てかけてあった棒を持ち出した。 その棒には細い糸と、その糸の先に針が付いている。 「これは釣竿といってな。 まあ細かい説明はいいとしてこうやって使うものなんだ。ほれっ」 「ゆっ? ゆぎぃぃぃぃぃっ!??」 人間の持つ棒、釣竿の先から垂れる糸のさらに先にある針が近くに居たまりさの頬に刺さった。 そして人間が棒を持ち上げると、まりさも一緒に上がって宙ぶらりになる。 「いだひ、いだひよぉ!!」 「ゆっくりやめてあげてね! まりさいたがってるよ!!」 「もしかしてゆっくりできないにんげんさんなの!?」 「ゆっくりできないのはやだよ! いっしょにゆっくりしようよー!!」 仲間の痛がる様子を見て人間にやめてあげてと抗議する。 人間は釣り上げたまりさを胸元まで寄せると釣り針を抜き取り、床に戻してやった。 「ゆぇぇぇぇぇ!!!」 「ゆっくりだいじょうぶだった??」 「いたいのゆっくりとんでいってね!!」 床に降ろされたまりさは泣きながら家族のところまで逃げていった。 「なんでこんなことするの!?」 「ゆっくりしようよ!!」 まりさを庇うように人間の前に立ったゆっくりは頬を膨らませて威嚇する。 「見てのとおりこの釣竿、というかこの釣り針に触るとゆっくり出来なくなるんだ。 この先の生活ではこういった釣り針なんかに気をつけなきゃいけない。 それを教えたかっただけだよ。分かったか?」 「ゆ、ゆう…でもまりさはいたがってたよ。ゆっくりあやまってあげてね!」 「ああ、悪かった。 だけど危ないものは覚えないとゆっくり出来なくなるからな?」 「ゆぅ、わかったよ。でもつぎはいたいのやめてね!」 「出来るだけ、な」 それから子れいむ達はゆっくりするために気を付けることをその人間から学んだ。 釣り針は危険ということ。 糸の付いた食べ物や仲間に似せた人形も危ないこと。 そしてそれらは自分達を追ってきて、捕まったらゆっくり出来なくなること。 色んな危ないものを実演込みで一通り教えてもらったところでゆっくり達は場所を移された。 移された場所は高い崖に囲まれたような場所で、崖の上には何人かの人間が釣竿を持って座っていた。 さっきまでアレの危険について教えられた子れいむは思わず身を強張らせた。 「ほら、まだ大丈夫だから入った入った!」 それでも人間が急かすので子れいむはその壁に囲まれた中をお母さんに身を寄せながら進んでいく。 「よし全員入ったな。それじゃあゆっくりしていってね」 人間は唯一の出入り口を閉めた。 この中に残されたのはゆっくり達だけになった。 そして同時にこの釣堀での釣りが解禁された。 四方から飛んでくる釣り針やルアー。 それはどれもゆっくり達を狙って飛んできていた。 「ゆべっ!?」 「い"、い"だぁい"い"ぃ"ぃ"ぃ"!!!」 「いや"あ"あ"あ"あ"!!!」 群れの仲間同士で集まっていたので狙われたゆっくりは動くことも出来ずに釣られてしまった。 そしてその中には子れいむの姉のれいむの姿もあった。 「れいむおねーちゃん!!!」 「ゆっくりのぼっていかないでね! そっちはゆっくりできないよぉぉ!!!」 釣られたらゆっくり出来ないこと、食べられてしまうことは教えられたので知っている。 なので子れいむは泣きながら釣り上げられていく姉れいむを追いかけた。 もちろん追いつけない。 「おかーさん!! まりさぁ!! れいむっ…!! おちびー!!!」 姉れいむは釣り上げられる中、家族のことをただ呼び続けた。 他の言葉なんて出てこなかった。愛する家族と離れたくない一心で家族のことを叫び続けたのだ。 だが… 「おお、天然物はやっぱ美味そうだな」 「おがーざー…っ! あぎゅびぇっ……」 釣り上げられた姉れいむは釣った人間によって釣り針から外され、即座に噛み付かれて顔の右半分を失った。 「ゆびっ、びゅぼっ、ぎょっ」 姉れいむの残った左半身は聞くに堪えない奇声を発するだけ。左目は白目を剥いてしまっている。 「あ"あ"あ"あ"あ"あ"……」 子れいむはそれ以上左だけになった姉を見てられずに目を逸らした。 しかしすぐに姉の残りもその人間に食われて姿を消した。 子れいむは姉れいむの元気だった姿を思い出して泣いていた。 だがそんな泣いてる暇すらこの場所では与えられなかった。 「れいむあぶないよ!! こっちににげようね!!」 「ゆ、ゆゆー…」 お母さんの声に子れいむはついていく。 子れいむが跳ねて移動したと同時にその背中を釣り針が通過した。 動くのが少しでも遅れれば自分も姉と同じ運命を辿ったことだろう。 子れいむは生きた心地がしなかった。 「ゆぇーん! きょわいよぉぉ!!」 「ゆっくちしちゃいよぉぉ!!!」 お母さんの頭に乗った妹れいむ達は泣き喚いていたが、今はあやす暇も気力もなかった。 釣堀の中でゆっくりの群れはバラバラに逃げ回る。 しかしいくつもの釣り針が右へ左へ揺れて次々と仲間を引っかける。 子れいむの友達も、その友達のお母さんもどんどん釣り上げられていく。 辺りは悲鳴で溢れていた。 昨日までのようなゆっくりとした楽しげな声は聞こえない。 自分を庇ったお母さんを目の前で食べられる子ゆっくり。 赤ちゃんの口から上を釣り針に攫われた母ゆっくり。 恋人を釣り上げられ、ゆっくりと食される様を見せ付けられたゆっくり。 そんな絶望と悲愴に満ちた声が子れいむの耳を犯す。 「いやだよやだよやだよやだよおぉぉぉぉ!!!」 子れいむはもう何も見たくないし何も聞きたくなかった。 しかし死にたくないという欲求は強く、子れいむの体を動かし続けた。 泣きながら走る子れいむの前にはまだ頼れるお母さんがいる。 お母さんの大きな背中が子れいむの心の支えになり、子れいむを幾分落ち着かせた。 それに妹だって姉である自分が守らないといけない。 守らないといけなかった。 「お、おかーさん…れいむは? おちびちゃんは…?」 「…ゆ?? あ、あたまのうえにいるでしょ? いるよね??」 妹れいむ達がいた筈のお母さんの頭の上には何もいなかった。 頭の軽さに気付いたお母さんはゆっくりとこちらに振り向いた。 そして何かを見つけたらしいお母さんは体を小刻みに震わせ、歯をガチガチと鳴らし、涙を流した。 子れいむは嫌な予感がしながらも振り向く。 振り向いた先には逃げ惑うゆっくり達。 そして妹のリボンが乗っかった餡子の飛沫が二つあった。 「れいむ! れいむー!!!」 「あ、ああ"、あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!」 お母さんは妹達の名を叫んで駆け寄っていく。 子れいむは呆然とするだけだった。 いつの間にお母さんの頭から落ちていたのか。 お母さんの後ろにいた自分がすぐに気づかなきゃいけなかったのに…! それはほんの一分ほど前のことだった。 母れいむの頭の上で髪の毛を咥えていた妹れいむ達は周りの恐ろしい光景に悲鳴をあげ、その拍子に母から転げ落ちた。 その時子れいむは気が動転した状態だったので気付かなかったのだ。 そして転げ落ちた妹れいむ達は母のことを必死に叫んだ。 しかし悲鳴で満たされたこの釣堀の中で赤ちゃんの小さな声は誰にも届かず、間もなくして他のゆっくりによって潰されてしまった。 残されたのは潰れた妹の体とリボン。 もう舌足らずだけど元気な声で話しかけてくることも、甘えてくることもない。 「ごふぇ、ごめんなざいぃ!!」 「ごめんね! ごめんねぇぇぇ!!!」 子れいむもお母さんも妹れいむが死んだのは自分のせいだと思い、妹れいむの死骸に泣きながら謝った。 悠長に謝ってる状況でもないのだが、家族を立て続けに失った悲しみは二匹の正常な判断を失わせていた。 「おかーさん! れいむ! にげないとゆっくりできないよ!!」 そんな二匹を我に返らせたのが子れいむの姉であるまりさだった。 今まで恋人のれいむと共に行動していたまりさだったが、呆然としている二匹を見て近づいて来たのだった。 「ま、まりさ! ぶじだったんだね!!」 「まりさおねーちゃん! ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!! とまってたらあぶないからにげようね!!」 「ゆっくりわかったよ!!」 まりさの言葉に元気を取り戻した子れいむ達はまりさと一緒に駆けていく。 まりさの恋人れいむもすぐに合流して四匹一緒に逃げ回る。 だが他のゆっくり達がバラバラに逃げ回る中、固まって逃げる子れいむ達はどうしても人間の目を引いてしまう。 「ゆっ? ゆっくりねらわれてるよ!!」 最初に気付いたのは恋人れいむだった。 子れいむ達もそこで飛んでくる釣り針やルアーが増えていることに気が付いた。 普段使わない五感をフルに使って避け続けるゆっくり達。実際はただ走っているだけで人間が勝手に外しているだけだったりする。 しかしそれでもこのままではいずれ誰かが犠牲になるだろう。 それを感じ取ったまりさは恋人のれいむに自然と話しかけていた。 「れ、れいむ…」 「どうしたのまりさ?」 「おうちにかえったら、ゆっくりできるようになったら…いっしょにくらそうね!!」 「ゆ、ゆん! やくそくだよまりさ!!」 危機的状況だからこそ幸せな未来を思い浮かべ、一組のカップルは将来を約束した。 しかし、その約束は一瞬でかき消された。 「ゆ、ゆうううぅぅぅ!!!」 「まり…さ…?」 「おねーちゃん!!」 恋人れいむの返事で気を抜いたまりさの右頬にありす型ルアーの針が容赦なく突き刺さり、まりさを連れ去っていく。 「まりさぁー!!! ゆっくりまってよ! ゆっくりまっていってよー!!」 愛するまりさ、将来を約束したまりさを追いかける恋人れいむ。 「ゆっく"りどまっでね! れいぶぎぢゃだめ"ぇ!!」 「い"、いだいぃぃぃ!?」 恋人れいむはまりさを追うことだけを考え、目の前の釣り針が見えていなかった。 そしてまりさの忠告が届く前に恋人れいむの左目は長く太い針に貫かれていた。 二匹はもう決して言葉を交わすことも体を合わせることもない。 それでも二匹はお互いに離れていく恋人の姿をずっと見つめ合っていた。 それは最後の最後まで。 恋人が食べられて崩れていくのを自分も食べられながら見つめていた。 そして夕方。 ゆっくり達には分からないことだが、閉店時間になったおかげで人間の姿はいなくなっていた。 あれからも逃げ続けた子れいむ達は疲れ果てて床にへたり込んでいた。 「なんでゆっくりできないの…!」 「ゆっくりじだいよ! もうおうぢがえる…!!」 子れいむの家族で生き残ったのはお母さんと子れいむの二匹だけ。 周りのゆっくり達も同じように家族を奪われ、恋人を奪われ、親友を奪われていた。 最初は逃げ回るのには窮屈だったこの釣り堀の中も今は随分と広く感じられた。 「おー、二十匹ってとこか。思ったより残ったな」 人間が食べ物をばら撒くために釣り堀の上に姿を見せた。 その人間に対してゆっくり達は懇願する。 「にんげんさぁん! もうれいむたちをおうちにかえして!!」 「ここじゃゆっくりできないよ!!」 「だしてよー! ここからゆっくりだしてよー!」 「ほぉ。まだ元気に叫ぶ力があるのか。 ま、明日もがんばれよ」 ゆっくり達がどんなにお願いしてもその人間は聞いてくれなかった。 あくまで仕事として食べ物を撒いてくれるだけだった。 「むーしゃ、むーしゃ。ゆっくりおいしいね」 「うん、ゆっくりできるね」 人間のくれた食べ物はとても美味しかった。 でもどんなに美味しい食べ物もゆっくり達の悲しみを癒すことなんて出来ない。 なので「しあわせー!」なんて叫ぶゆっくりはこの中にいなかった。 やがて日が暮れて真っ暗になるとゆっくり達は就寝する。 少なくなった群れの仲間たちは一か所に集まって身を寄せ合うようにして眠りにつく。 寝る前に仲間たちと、 「おきたらおうちにもどってるかな」 「だったらゆっくりできるね!」 「きょうのはぜんぶゆめだったんだよ!!」 「それはゆっくりできるね!!!」 なんてゆっくり出来る妄想を語り合った。 しかしゆっくり達の妄想は妄想でしかなく、 翌日もその次の日も高い壁に囲まれた中で釣り針から逃げ回る日々を過ごすことになった。 日ごとに避ける技術や体力の温存方法を学んだ子れいむ達は五日経ってもまだ釣られずに済んでいた。 「きょうこそゆっくりしようね!!」 「ゆっくりしようね!!」 いつかはゆっくり出来る日が来ると、子れいむ達はまだ希望を捨てずにいた。 最近は壁の上の釣竿を持った人間が少なくなり、最初に比べてかなりゆっくり出来るようになった。 さらに母と並んで壁を背にする陣形。これが子れいむ達を生き長らえさせた。 壁を背にすれば気を付けるのはほとんど見える範囲だけで済む。 それでも足りない部分はお母さんと二匹でカバーしあえば問題は無かった。 子れいむが壁の上の人間達の様子を見ていると、一人の男が現れた。 釣竿の準備を始めたその男が最初に誰を狙うのか注視する。 準備の終わったらしい男はこちらを真っ直ぐに見て釣竿を構えていた。 狙っているのは間違いなく子れいむ、自分自身だ。 子れいむはすぐに動けるよう身構え、男の僅かな動きをも見逃さぬように男を凝視する。 そして男の腕が動く。 「ゆっ!? れいむあぶないよ!!」 「ゆっくりよけるよ!!」 お母さんも自分の娘が狙われていることに気付いていた。 男が釣竿を持つ手を動かすと同時に子れいむに危機を知らせた。 子れいむも警告を聞くまでも無く、すでに動き始めていた。 子れいむは一跳びで回避して振り返ると、赤ちゃんれいむが通り過ぎた。 いや、あれはルアーだ。赤ちゃんれいむに似せた命ない人形。 さすがのゆっくりでも一目で偽者と分かる。 そりゃそうだ。あんな大きな釣り針を二つも付けた赤ちゃんなんているわけが無いのだから。 そんなふざけたルアーだが、地面すれすれを低空飛行して子れいむに向かってきた。 「ゆっくりしてね! おいかけないでね!!」 子れいむは捕まらぬように右、左、右、左とジグザグに跳ねる。 こうすればたいていの人間は諦める。 だがあの男は諦めなかった。 10分経っても、20分経っても子れいむを追い続けた。 30分も追われながら動き続けた子れいむは疲れ、動きが鈍くなっていた。 「ゆ、ゆぅ…っ、ゆぅ…! どうじで、れいむばっかりねらうのぉ!?」 「にんげんさん! れいむをねらうなられいむをねらってね!!」 お母さんは子れいむを狙う人間に自分を狙えと頼むが、それでも子れいむを執拗に追い続ける。 そしてとうとう子れいむは床にへたり込んでしまった。 恐らくあの男は体力が尽きて動けなくなるこの時を待っていたのだろう。 『すりすりちようね!』 偽赤ちゃんれいむの体内からそんな声が聞こえた。 大きな釣り針が子れいむの目の前まで迫る。 子れいむはギュッと瞼を閉じる。 「ゆっくりごめんね!!」 「ゆ"っ!?」 だが、次の瞬間子れいむは吹き飛ばされた。 目を見開くとそこには子れいむを庇い、代わりに釣り上げられるお母さんの姿があった。 「ゆぅ"ぅ"ーん"っ!! おがーざん!!!」 子れいむは連れ去られるお母さんを追いかけたい。 追いかけたいのに疲れ果てた体は動いてくれなかった。 「れいむっ…れいむ…っ!! ゆっくりしてね!! ゆっくりしていってね!!!」 お母さんは釣り上げられながら子れいむのゆっくりを願ってそう叫び続けた。 子れいむは涙を流しながらお母さんの最後になるであろう言葉に耳を傾けていた。 それが動けない子れいむがしてあげられる唯一最後の親孝行だった。 「おがぁざん、ゆっぐい"じでい"っでね"ぇ"…ゆっぐりぃぃ……」 お母さんの姿が見えなくなると子れいむは途端に寂しくなって大泣きし始めた。 もう家族はいない。頼れる存在もいない。 そして群れの仲間たちは逃げるのに必死で、泣き喚く子れいむに構おうとするものはいなかった。 しかしそんな中、子れいむに声をかけるものがいた。 『すりすりちようね!!』 どこかで聞いた声だった。 赤ちゃんのような舌足らずな発音でどこか無機質に感じられる声。 子れいむが振り向いた先には、大きな針をぶら下げた作り物が笑顔を浮かべて甘えてきていた。 「ゆ"う"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"っ!?」 頬に大きな針が深く突き刺さる。 赤ちゃんゆっくり型ルアーの言うところのスリスリとはこういうことだ。 かえしの付いた釣り針は一度刺さると中々抜けるものではなく、いくら子れいむが力んでも悲鳴を上げても針は外れない。 どんどんと体は地面から離れ、恐ろしい人間の下へと引っ張られていく。 「やだよ! ゆっぐりでぎないよ"!! ゆっぐりざぜでぇ"っ!!」 子れいむは姉や仲間たちの無惨な死に様を思い出し、必死に人間の手から逃げようともがく。 だが手も足も無い生物がどう足掻いたところで体をくねらす程度にしかならなかった。 大した抵抗も出来ないまま子れいむは大きいバスケットに押し込まれて閉じ込められた。 「ゆぅーん"っ!! だじでー!! ゆっぐりじだいよ"ぉ"!!」 「れ、れいむ…?」 「……ゆ?」 バスケットにはもう一匹ゆっくりがいた。 産まれた時から何度も聞いたその声は間違えるはずも無い。 お母さんだった。 「お"、お"が…おがぁざん………!!」 「れいむ…っ!!」 死んだと思っていたお母さんとの再会に、子れいむは涙をボロボロ流しながら母に体を押し付けた。 二度と感じられないと思っていた母の温もりが子れいむの傷ついた心を癒した。 お母さんも子れいむと同じように泣きじゃくっていた。 「よし、そろそろ行くかぁ」 バスケットの外から人間の声が聞こえる。どこかに行くらしい。 子れいむはまた怖いところに行くのかと不安に思い、母に「どうしよう」と問いかけた。 すると母れいむはゆっくりとした笑顔でこう答えた。 「このにんげんさんはとってもゆっくりできるよ! これからにんげんさんのおうちにしょうたいしてもらえるんだよ!!」 「ゆゅっ! そうなの!?」 「ゆ、そうだよ! これからはゆっくりできるんだよ!!」 「ゆゅーっ!!」 子れいむは素直に喜んだ。 他の家族や群れの仲間をほとんど失ったが、その分もゆっくりしよう。 彼女の頭はゆっくり出来る方向に関しては切替が早かった。 「しんじゃったみんなのぶんもゆっくりしようね!!」 「うん! にんげんさんとさんにんでゆっくりしようね!!」 人間が運ぶバスケットの中、子れいむとその母は釣堀という地獄から開放された幸せに浸っていた。 幸せすぎて何度もヘブン状態と叫んでしまったほどだ。 「着いたぞ。今日からここがお前たちのゆっくりプレイスだ」 バスケットの中で揺られること約一時間。 心地よい揺れにウトウト眠りかけていたところでバスケットから出された。 横には壁、上は天井、下は絨毯。そして子れいむの興味をそそる多くの見たことが無い物が揃っている。 ここは人間のおうちの部屋だった。 そして部屋の中心には初めて見るゆっくりがいた。 水色の髪、淡い桃色の帽子、そして羽を生やしたゆっくりだった。 ニコニコと嬉しそうな笑顔を振りまくそのゆっくりは羽を使って宙を浮いていた。 「うー! うー!」 「ゆっくりしていってね!!!」 「れいむとれいむはおやこだよ! ゆっくりしようね!!」 本当は親愛を示すために頬を擦り合わせたかったが、 そのゆっくりはれいむ達の上を飛んで旋回していたので届かなかった。 「ゆっ! おなまえはなんていうの?」 「ゆっくりおしえてね!!」 「れみりゃ、うー!!」 そのゆっくりはれみりゃと言うらしい。 子れいむはこの空を飛べるれみりゃが羨ましく、同時にお友達になりたいと思った。 お母さんもきっと同じ気持ちだろう。 「それじゃ、れみりゃの遊び相手になってくれ」 「ゆっくりわかったよ!!」 「ゆっ、でもおにーさんはどこにいくの? いっしょにゆっくりしたいよ!!」 「いっしょにゆっくりあそぼうよ!!」 「ま、食事の時にまた来るよ」 そう言うと人間は部屋を出て扉を閉めていった。 部屋に残されたのはれみりゃとれいむ親子の三匹だけになった。 子れいむはれみりゃと遊びたかったのですぐに声をかける。 「れみりゃ! いっしょにゆっくりしようよ!!」 「うー!!」 子れいむの言葉にれみりゃは嬉しそうに近づいてくる。 そんなれみりゃに親愛のスリスリをしようとする子れいむ。 だがスリスリしようとした子れいむの頬。 プニプニした頬にれみりゃの牙が突き立てられた。 「ゆぎぃっ!! い"だっ! い"だい"よ"…!! ゆっくりやめてね!! い"だい"い"ぃ"ぃ"ぃ"ぃ"!!!!」 「うー! うー!!」 外的の少ないゆっくりプレイスで生まれ育ったれいむ親子はれみりゃを知らなかった。 れみりゃはれいむ種やまりさ種を大好物とする捕食者。 そのれみりゃの中でも最も素早い体無しが目の前にいるのだ。 知識のあるゆっくりであればこの部屋に連れて来られた時点で間違えなく怯えて部屋の隅に逃げる。 れみりゃを知らない子れいむはそんな相手と友達になろうとしたのだ。 そしてその結果が今である。 「ゆ"う"ぅ"ぅ"!! ぐりゅじぃよ"!! がらだがおがじい"よ"……!!」 子れいむはれみりゃによって体の中身を吸い上げられていた。 言わば内蔵と脳の合わさったものを無理矢理引きずり出されるような感覚。 嘔吐しそうな苦しみと全身に響く痛み。 そして圧倒的な喪失感が子れいむを襲う。 お母さんは突然のことにしばらく固まっていた。 無害そうなあのれみりゃが娘を攻撃するだなんて夢にも思ってなかったのだ。 だからこそ目の前の光景が信じられなかった。 しかし娘の悲鳴が目の前の光景が真実だと教えてくれた。 娘がれみりゃに食べられようとしている…! 「やめてね! れいむからはなれてね!!」 お母さんはれみりゃに体当たりしようと身構えた。 が、それより前にれみりゃは子れいむから口を放していた。 「ゆ"、ゆ"、ゆ"ぐ…ゆ"ぐ、り"」 子れいむは死ぬほどではないが餡子を抜き取られた痛みに痙攣していた。 お母さんはすぐに娘の下へ駆け寄ろうとする。 「うー!」 「あ"あ"あ"あ"あ"!! やめでね! ゆっぐりじでね!!」 れみりゃはそんなお母さんれいむに噛み付いた。 そして子れいむと同じように中身を吸い上げていった。 母れいむはその苦しみに娘と同じように悶絶し、悲痛な叫びを上げた。 それからしばらくして、母れいむはれみりゃから解放された。 今は娘と仲良く並んで痙攣していた。 釣り針から逃げる生活から解放されたと思えば、今度は捕食者から逃げる生活だった。 前と違うのは捕まっても死ぬことはない、いや殺されないところだった。 れみりゃはれいむ達をあくまで玩具として扱っていた。 だから死ぬまでは中身を吸わない。 時には噛み付かずにれいむ達を追いかけて、必死に逃げて怯える姿を見て楽しんでいた。 釣り堀から助けてくれた人間はここでは常にれみりゃの味方だった。 れいむ達がれみりゃの玩具だから傷を治してくれるし食べ物もくれる。ただそれだけ。 子れいむは何で自分達がこうなったのか分からなかった。 平和な森の中で家族と、群れの仲間と仲良く暮らしていただけなのに。 あの森は悪意のない世界だった。 世界のすべては善意、つまりゆっくりで出来ているはずだった。 人間がそれを壊し、子れいむ達を悪意の世界へと連れ出した。 釣られた仲間は食べられ、目の前のれみりゃは自分たちを食べる。 子れいむが分かったのは自分たちが食べられる存在であるということだけ。 何故ゆっくり出来ないのか。 誰かのせいにすることなんて思い付かない子れいむのゆっくりした頭ではその理由が思い当たるわけもなかった。 そして今日もれみりゃの遊び相手にされる。 一緒にゆっくりすることはない。一方的に相手が子れいむとお母さんを傷つける。 この部屋でゆっくり出来るのはれみりゃだけ。 「いっじょに、ゆっぐりじようよ"…」 「うー!!」 返事は牙で返された。 子れいむは餡子を吸われながらお母さんを見る。 お母さんはここ数日は子れいむの言葉にもほとんど反応しなくなっていた。 たまに独り言をブツブツ言っている。起きながら夢をみているようでもあった。 もうお母さんは、そして自分も二度とゆっくり出来ないのかも知れない。 子れいむは餡子を吸われ、朦朧とする意識の中で漠然とそう感じ取っていた。 終 by 赤福(ゆっくりしたい人) このSSに感想を付ける
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「ゆ゛っぐり゛じだい゛よ゛お゛ぉ゛ぉ゛!!ゆ゛っぐり゛ざぜでえ゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 山菜取りから帰る途中、茂みからそんな声が聞こえてきた。 何事かと思い覗き込むと、そこには罠にかかって動けなくなっているゆっくりがいた。 大方ハンターが仕掛けた物だろう。ゆっくりは高く売れるからな。 犬猫ならともかく、ゆっくりなんぞ助けても仕方が無いのでそのまま行こうとする。すると 「お゛に゛い゛ざん゛!!だずげでぐださい゛い゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」 お兄さんじゃあ、しょうがないな。 小さな頃から老け顔で、十五にして父親からも『親父』と呼ばれていた俺の憧れの呼ばれ方ベスト5だし。 「そら、もうかかるんじゃないぞ…って無理だよな。ゆっくりブレインだし」 「ゆっくりできる!ゆっくりできるよ!おにいさんありがとう!!!」 「はいはい。じゃあな饅頭」 「まんじゅうじゃないよ!れいむだよ!ゆっくりおぼえてね!!」 「へーへー」 あまりこんな所を人に見られたくはないので早足でその場から離れる。 ゆっくりはまだ何か叫んでいたが、どうでもいい。どうせいつものあれだろう。 家に着いて早速至高の山菜料理を作っていると、戸を叩く音が聞こえた。誰だろう。 「はいはい今開けますよー」 「「ゆっくりしていってね!!!」」 なんと客はゆっくりだった。それも二匹。 「何だお前ら、一体何の用だ」 「ゆっくりさせていってね!!ゆっくりさせていってね!!」 「何言ってやがる帰れ帰れ。うちにはお前らみたいな饅頭に食わすタンメンはねえぞ」 「まんじゅうじゃないよ!れいむだよ!ゆっくりおぼえていってね!!」 「あん?何だそりゃ。ひょっとしてお前さっき会ったゆっくりか?」 「そうだよおにいさん!ゆっくりさせていってね!!」 「じゃあそっちの黒いのは何だ」 「れいむのおともだちだよ!まりさっていうんだよ!!」 「よろしくねおにいさん!まりさもゆっくりさせていってね!!」 一体どういうつもりだろう。まさか親切なカモがいるからと、仲間共々たかりに来たのだろうか。 「ちょっと親切にした位で調子に乗るんじゃねえぞ饅頭。お前らなんかにゃ水一滴だってやらん!」 「いらないよ!ごはんいらないよ!だからゆっくりさせていってね!!」 「おねがいします!ゆっくりさせていって!!」 なんと飯はいらんときた。一体何事だ?油断させてつけこもうなんて知恵がある訳も無いし…… ま、いらんと言うなら別に上げてやっても構わんか? 今晩居座るなら明日加工所に売りに行けばいいんだし。 「ああ分かったよ。大人しくするなら入れてやる」 「ゆっくりするよ!ありがとうおにいさん!!」 「ありがとう!!」 ぴょんぴょん飛び跳ねながら家の中に上がりこむ。何を嬉しそうにしてるんだこいつらは。 「お前らはその隅っこで大人しくしてろ。何も食わせてはやらんし、暴れたりしたら食うからな」 「わかったよ!ゆっくりじっとしてるね!!」 「ゆっくりたべないでね!!」 「ああそうしてろ」 何とも妙な話だ。ひょっとして狐にでも騙されているのか? 首を傾げつつ料理を作り、一人で食う。その間物欲しそうにこちらを見ていたが、当然分けてなどやらん。 「おいお前ら涎を垂らすな汚らしい。踏み潰すぞ」 「ゆ!ごめんなさい!!ゆっくりふいておくね!!」 「ゆっくりふまないでね!!」 益々おかしい。本当にこいつらゆっくりなのか…まあどうでもいいか。 その後風呂に入ったり布団を敷いたりしている間も奴らは大人しかった。不気味だ。 「お前ら帰らんでいいのか?俺はもう寝るが」 「ゆっくりとまっていくよ!ゆっくりねていってね!!」 「ゆっくりおやすみ!!」 「ああおやすみ。寝てる間に暴れたり盗み食いなんかしたら八つ裂きにするからな」 そう言ってさっさと寝る。まあ、仮に寝てる間に盗み食いなんかされても所詮二匹だけだ。 二匹とも売れば十分プラスになるだろう。 翌朝。妙な騒がしさで目が覚めると同時に、昨夜の考えは間違っていたと思い知らされた。 こ、こいつらまさかこんな方法で俺に嫌がらせをしやがるとは……!ゆっくりって奴は悪知恵は働くんだな畜生!! 「あ、おにいさんがおきたよ!!ゆっくりおはよう!!」 「ゆっくりおきてね!!」 「「「「「「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」」」」」」 どうやらあの二匹、俺が寝ている間に交尾しやがったらしい。ミニマムサイズのちびゆっくりが十匹もいる。 当然家の中は荒れ放題、食い物はほぼ全て食い尽くされている。 「お前ら、荒らすなって言ったよな?そこまで八つ裂きにされたいのか。そうかそうか」 「れいむとまりさのあかちゃんだよ!!ゆっくりかわいがってね!!!」 「ゆっくりかわいいでしょう!!!」 「んな訳あるかこの糞饅頭が!!てめえら一匹たりとも生かして返さんぞ覚悟しろ!!!」 怒鳴った瞬間、それまでの喧騒が嘘のように静かになった。 親ゆっくりれいむが、涙目になってこちらを見ている。 「ひどい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!ぜっがぐお゛ん゛がえ゛じじであ゛げだの゛に゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!」 「あやまってね!!ゆっくりあやまってね!!」 「「「「「「「「「「ゆっくりあやまってね!!!」」」」」」」」」」 「恩返し、だぁ?一体どういう事だ。説明しろ糞饅頭」 どうにかこうにか聞き出した所によると、罠から助けてくれた俺に恩返しがしたかったらしい。 だが恩返しの方法なんて分からない。 そこで友人のゆっくりまりさに相談したら、可愛い赤ちゃんを見せてあげれば喜ぶに違いないという結論に達したとの事。 ゆっくりに恩なんて概念があった事に驚きだ。加工所の人に話してもきっと信じないだろうな。 「そうか。事情は分かった」 そう、悪気は無い事は分かった。だが、それだけだ。 悪気があろうが無かろうが起きた現実には何の違いも無い。俺は家中をメチャメチャに荒らされ、食い物を全て奪われた。 その代償はきっちりと払ってもらわなければならない。というか、恩返しなのに恩着せがましい物言いをするのが気に食わん。 「じゃあお前らとゆっくり遊んでやる。そうだな、かくれんぼをしようじゃないか。鬼は俺だ」 「ほんとう!?ほんとうにあそんでくれるの!!!」 「おにいさんありがとう!!ゆっくりかくれてるね!!」 「「「「「「「「「「わー!ゆっくりかくれようね!!!」」」」」」」」」」 「おっと。お前は俺と一緒に探すんだよ」 「ゆっ!だっこだ!だっこきもちいい!!!」 親ゆっくりれいむを抱きかかえて座る。こいつにはせいぜい楽しませてもらわんとな。 しばらく待ってもういいかーい。あちこちからもういいよー、と聞こえたのでゆっくりれいむを抱えたまま捜索開始。 「……ゆっくりまりさ、見つけた」 信じられん、あれで隠れているつもりか。頭隠して尻隠さずとは言うが、こいつは顔しか隠れていない。 「みつかっちゃった!!おにいさんすごい!!」 「れいむはわからなかったよ!!おにいさんすごい!!!」 これがゆっくりブレインか……よく生きていられるな。 「じゃあ見つかったまりさも俺がだっこしていてやろう」 「ゆっくりだっこしてね!!!」 「おそろい!おそろい!!」 片腕で何とか抱えて残りのちびゆっくりを探す。 奴らは体が小さい分難易度が高いが、所詮はゆっくり。簡単に次のを見つけた。 「ちびゆっくりれいむ、見ぃつけた」 そう言ってゴミ箱に隠れていたちびゆっくりを空いた手で掴む。 「ゆっくりみつかっちゃった!!!」 「おにいさんほんとうにすごいね!!!」 「ゆっくりかくれんぼのめいじんだね!!!」 「それじゃ、見つかったちびゆっくりちゃんは罰ゲームだ」 「ゆ?」 ちびゆっくりを口の中に放り込む。途端、ゆっくりれいむが物凄い形相で叫ぶ。 「なにするの!!おじさんやめて!!ゆっくりはなしてあげて!!」 おじさん、だと…?一瞬このまま殺してやろうとも思ったが、思いとどまって口の中を見せる。 「ゆっくりあったかいよ!」 「何勘違いしてやがるんだお前は」 「ゆっくりまちがえちゃったよ!!」 口の中でちびがもぞもぞ動く感覚が面白い。舌で転がしてやると喜んでいるようだ。 そんな風に舌で弄びながらちびゆっくりを探し、見つける度に口の中へ放り込む。 あっという間に十匹とも口の中へ。何てチョロいんだ。 「あっというまだったね!!!」 「ゆっくりするまもなかったね!!!」 そんな風に賞賛する親ゆっくり二匹。愚かな奴らだ。ゆっくりするのはこれからだというのに。 「じゃあ、ゆっくりあかちゃんをはきだしてね!!!」 ああ、吐き出してやるとも。頷いて、床に文々。新聞を広げ、二匹を両手でがっちりホールドする。 そして、口の中できゃっきゃと遊ぶちび共を一気に噛み砕く。プチプチという感触が気持ちいい。 口の中から物凄い悲鳴が聞こえる。ククク痛かろう怖かろう。 「お゛じざん゛や゛め゛でよ゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!どうじでごん゛な゛ごどずる゛の゛お゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 「はや゛ぐだじであ゛げでね゛!!さっさとだずげであ゛げでね゛!!!」 そうかそうか吐き出して欲しいか。じゃあそうしてやろう。 新聞紙の上に噛み砕いたちび共を吐き出す。先程まで賑やかだった連中は、今や苦しみの声を上げるだけの醜い塊だ。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!れ゛い゛む゛の゛あ゛がぢゃん゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「うわ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!ゆ゛っぐ!!ゆ゛っぐり゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!」 大変喜んでいただけたようで満足です。その後もねっとり言葉責めして反応を楽しむ。 やっぱゆっくりの活用法は食用じゃなくて愛玩用がベストだよな。 気の済むまで言葉責めする頃には、親二匹は廃人、いや廃饅頭になっていた。目は空ろで口をぱくぱくさせている。金魚みたいだ。 「じゃあこれを片付けないとな」 「ゆ゛ぶふぅっ!!?」 「ぐお゛え゛ぇ゛!!」 まだ半数くらいは息があるちびゆっくりの塊を二匹の口の中に押し込み、口を塞ぐ。 「「ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!!」」 二匹とも物凄い勢いでもがく。さっきまでの様子が嘘みたいだ。ああ楽しい。もっと鳴いてくれ。 しばらくすると二匹ともしっかりちびゆっくり共を嚥下した。これでやる事は大体やったな。 「それじゃあ行こうか糞饅頭共」 「ゆ゛っ……ゆ゛っぐ……?」 「どごに゛…どごに゛い゛ぐの゛……?」 「勿論ゆっくり加工所さ。お前らゆっくりしたいんだろ?好きなだけゆっくりさせてやるよ」 「い゛や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!がごお゛じょはい゛や゛だあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「も゛う゛い゛や゛だ!!ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛がら゛お゛う゛ぢがえ゛る゛!!!がえ゛る゛よ゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「そんなに嬉しそうに鳴くなよ、興奮するなぁ。何か良い事でもあったのかい?」 軽薄な感じで話しかけるが、もうこちらの声など聞いていないようだ。 肩をすくめ、山菜取り用のかごに二匹を詰めて蓋をして出かける。 道中、何やらゆっくりまりさがゆっくりれいむを攻め立てていたようだ。ひどい奴だ。俺からすれば同罪なのに。 日が高くなりつつある空を見上げて、かごの中のやりとりを楽しみながらゆっくりと加工所に歩いていった。 "Repaying the kindness" is COMPLETE!!